期待していたパレードも、やはり、何も起こらなかったようです。しかし、裏では長老との戦いがあったようです。
ネットでは、誰が出ないかとの推測が沢山ありましたが、どうやら、その思惑は全て外れて、全員出席となったようです。これが何を意味するのでしょうか。
産経ニュースより 2015.9.3
【抗日70年行事】 習政権と対立の長老そろって式典参加 江沢民、胡錦濤両氏ら健在誇示 習氏と長老の“戦い”激化も
「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利70周年」の記念行事に出席した(左から)韓国の朴槿恵大統領、ロシアのプーチン大統領、習近平国家主席、江沢民元国家主席、胡錦濤前国家主席=3日、北京の天安門(共同)
【北京=矢板明夫】3日に中国北京で行われた抗日戦勝70年を記念する行事で、習近平国家主席とともに、江沢民元主席、胡錦濤前主席ら党長老たちも参列 し、健在ぶりをアピールした。ここ数年の習近平氏による強引な政権運営の手法に対し、党長老たちが不満を募らせており、党内の対立は激化したといわれてい る。この日、天安門楼上で習氏は江氏、胡氏と言葉を交わしたが、三人とも神妙な表情で、「呉越同舟」の感は否めない。
中国で10年ごとに行われる建国記念日を祝う軍事パレードに、党長老を招待する慣習はあったが、今回は抗日戦争をテーマに行われた初の式典。約30人もの外国首脳招待の前例もなかったため、長老が登場するかどうかは国内外から注目されていた。
習主席は自身への権力集中をアピールしたいところだけに、共産党関係者は「自分の晴れ舞台に長老たちに出てきてほしくないのは本音だが、止めるほどの力はまだ習氏にないということだろう」と説明した。
式典の約2週間前の8月中旬、米国を拠点とする中国語ニュースサイトには、「江沢民氏が天津市の爆発に関与したとして拘束された」との情報が流れた。北京の当局関係者はすぐに否定したが、習派が江氏の影響力を低下させようとして流した偽情報の可能性が指摘された。
この日の軍事パレードで、江氏は強い日差しの中を約2時間立ち続ける壮健ぶり。親族の不正蓄財で調査を受けていると香港メディアに伝えられた曽慶紅元国家副主席や、李鵬元首相、温家宝前首相らも楼上から笑顔で手を振った。
党長老たちは、習近平氏が最近、メディアを総動員して自身への個人崇拝を進めていることや、反腐敗の名目で政敵を次々と倒していくやり方に不満を募らせている。今夏に開かれた、共産党内の現、元最高幹部による北戴河会議でも、習氏らに長老の批判が集まったとされる。
共産党関係者は「習氏と長老たちの戦いはまだ勝負ついておらず、これからは激しくなっていくであろう」と話している。
長老達はまだまだ粛清されていなかったということのようです。習近平の力もまだそこまでは及んでないということでしょうか。
私の頭では、どう捉えれば良いのか理解できません。と言うことで、宮崎さんがどう捉えているのか興味深いものがありました。
早速、取り上げてくれていました。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成27年(2015)9月4日(金曜日)通算第4647号
宮崎正弘の国際ニュース・早読み(北京軍事パレードは成功したと言えるか?)
習近平の北京軍事パレードは「成功」したのか?
AIIB参加57ヶ国のうち、30ヶ国しか参加しなかった
九月三日、世界が注目した中国の「抗日戦争勝利70周年軍事パレードに」は晴天、猛暑のもと、大量の兵器陳列パレードと兵隊の示威行進などで盛り上が り、プーチン(露西亜)大統領、蕃基文(国連事務総長)、朴権惠(韓国)大統領らが参加した。ほかに南アとモンゴル、カザフスタン大統領がめだつ程度だっ た。
予測された国賓より、もっとも注目されたのは江沢民がよたよたと現れ、習近平の隣に並んだことだった。これには驚いた人が多い。
対立しているとされた胡錦涛も雛壇に登場し、病気欠席が予測された李鵬もでてきた。この長老たちの勢揃いこそ、中国共産党が一番みせたかった演出ではないのか。
すなわち血みどろの権力闘争は、いったん休戦状態にある、という宣伝効果が得られるからだ。
習近平は演説で「中国は覇を唱えず、軍を30万人削減し、永遠に拡張もしない」などと大嘘を平然と嘯いた。
もし覇権をとなえないのなら、南シナ海の軍事拠点構築をどう説明するのか、軍を削減しても武装警察が増えるだけの目くらまし戦術にも一切の言及が無く、しかも9月3日の軍事パレードは今後毎年続けると言いはなった。
「強い中国」の演出は習政権がスローガンとする「中国夢」の実現であり、軍事パレードをともかく挙行できたことは、習近平が軍を掌握したということを内外に示したかったわけで、しかし実態はと言えば反対の様相が強い。
軍を掌握したと誇張できる背景は稀薄である。
第一に西側が総スカンを示した。日本ばかりか欧米英にくわえてスリランカ、ケニアなどが欠席し、またAIIBに参加を表明した57ケ国のうち、30ヶ国の代表しか出席しなかったことが挙げられる。外交的には失敗といえるかも知れない。
第二に「抗日戦争勝利」というスローガンのインチキが世界に知れ渡ったことだ。抗日戦争を戦った主体は国民党であり、中国共産党には、「勝利」をいう合 法性がないと米国のニューヨークタイムズまでもが厳しく批判し、台湾でも一部政治家や老兵の参加に激しい非難の声が巻き起こった。
したがって習近平の演説では、この部分を曖昧にぼかして表現した。
第三に初公開の兵器が85%、その全てが国産と自慢する中国の武器システムだが、米国東海岸へ届くというDF31,DF5のパレードが行われても、おそら く展示用の囮ミサイルか、サンプル(中味は空砲)であり、「張り子の虎」ぶりはかわらない。北京五輪のときの口パク少女を思い出せばよい。
第四に習近平の「強い中国」の自己演出は、かえって周辺諸国に驚異をあたえ、これからの中国の進出プロジェクトへの不信感はますます増大すると予想されることだ。
上海株式暴落、人民元切り下げ、天津大爆発など一連の不祥事が折り重なって中国のイメージ悪化が避けられないという皮肉な結果となった。
蛇足ながら日本から駆けつけた村山元首相は猛暑にダウンして北京の病院に緊急入院、式典に参加できなかったそうな。
成程、休戦を見せたかったのですか。これは、考えなかったですね。と言うことは、習近平にとっては痛し痒しと言うところです。何んだかんだと言っても、本当は、全員粛清したかったのが本音じゃないでしょうか。
もう一つ驚いたのは、スローガンのインチキが世界に知れ渡ったという解釈です。世界はそこまで解っているのでしょうか。本当にそうであれば日本にとっては有難いことですが、そのまま受け取っている情弱の国もありそうな気がします。
と言うか、一番怪しいのが、日本の自虐史観に洗脳された左翼達じゃないでしょうか。この人達は何があっても、日本を悪者にしておきたいので、目覚めることはなさそうな気がします。
いずれにしても、何も起こらなかったので、仕方なく、これまで通り辛抱強く崩壊してくれるのを待つしかなさそうです。