スエズの座礁事故に驚いたのは、大型タンカーが運河の幅より長いということでした。ということは、スエズを封鎖するのは何時でも出来るということです。
何となく、嫌な予感がします。
宮崎さんが世界にはそんな場所がいくつもあると警告を発してくれています。そこを狙っているのがChinaというのも恐ろしい。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和三年(2021)4月4日(日曜日)
通巻第6849号
スエズ運河のタンカー座礁事故はいかなる教訓を残したのか
中国は北極海ルート、北欧へも一帯一路。タイには「クラ運河」構想本格化へ
世界のチョークポイントはスエズ運河ばかりではない。ジブラルタル海峡、ポスボラス海峡、ホルムズ海峡、マラッカ海峡、そ してパナマ運河。
大航海時代には喜望峰、マゼラン海峡も重視されていた。英国の「七つの海の覇者」とは、これらのチョークポイントを抑えるこ とで成立していた。
戦争や事故で、一箇所が封鎖されると経済の大動脈がパニックに襲われる。つねに代替ルートの確保がセキュリティの第一歩。 中国の進めるBRI(一帯一路)は、この代替ルート戦略に繋がっている。
第一に中国が目を付けたのは北極海だった。
砕氷船「雪狼」を二隻、最新型を新造して試験航海を繰り返し、ロシアの神経を逆なでしながらも「2030年には商業化出来 る」としている。中国が北極海ルートの開発に正式に踏み切ったことが表面化したのは2018年で、それで判明したことは、北 海道の土地買い占めは、このルートに沿っていることだった。
アイスランドで宏大な土地を開発しようとしていたこと、フィンランドをけしかけて、北極海に面した不凍港からヘルシンキまで 鉄道を敷く計画なども、この大戦略絡みで発想されたことだった。
現時点でも中国はフィンランドの企業家を巻き込んでバルト海のエストニアへ、トンネル工事を計画している。バルト三国では 反中国感情が強まっており、実現する見通しは薄いが。。。
第二にパナマ運河が輸送量の限界に達しており、代替の運河をニカラグアに持ちかけ、実際に工事を始めていた。途中で資金が 続かず現在は挫折した格好となっている。
第三がマラッカ海峡の代替ルート、すなわちタイにけしかけているクラ運河建設である。前国王は関心を示さなかったが、現国 王は前向きである。
▲陸と海のシルクロード、そして資源輸送のバイパス建設はセットだった
かくして中国がカネと労働力にあかせて驀進させてきたBRI(一帯一路)は陸のシルクロート、海のシルクロード、そして資 源輸送のバイパス建設(パキスタンのグアダールからカシュガルへの「CPEC=中国・パキスタン経済回廊」建設がそれの目 玉。
ミャンマーのチャウピューから昆明へのパイプライン、中央アジアのトルクメニスタンから上海までのパイプラインの大工事(後 者二つは完成)
中国はいまや世界最大の資源輸入国であり、世界中の鉱山開発にも積極的に絡んでいることは周知の事実だろう。
海のシルクロードは「上海からピレウスまで」が合い言葉だ。現にギリシアのピレウス港の運営権を中国は30億ドルで買っ た。
ピレウスからはEU加盟国なら何処へでも、シェンゲン協定によって自由に移動できたから、欧州各地に中国人があふれ出した のだ。
インド洋スリランカのハンバントタ港は中国海軍の御用基地に化けたし、紅海の入り口に位置するジブチには一万の中国人民解放 軍が駐屯している。
いずれもが中国の資源輸入ルートでもあり、とりわけ北極海重視に中国が傾斜している理由は無尽蔵の石油、ガス、鉱物資源が 未開発のまま埋蔵されているからでもある。専門家の見積もりでは、900億バーレルの石油。1670兆立法フィートのガス、 そして計測不能のレアメタル、レアアース等々。
一方、米国はリトアニアに駐屯している米軍の増派に踏み切る動きがある。
2020年8月に500名の戦闘部隊と25台の戦車を投入し、隣国ベラルーシの動きにそなえてきた。
ルカシェンコ独裁のベラルーシがリトアニア、ポーランド国境で軍事演習を繰り出したからだった。計画では2021年六月ま での暫定駐留とされたが、延期されるばかりか増派。何かの予兆だろう。
Chinaの壮大な計画は裏に世界制覇じゃなく世界平和という目的があれば素晴らしいのですが、勿体ないことです。
これは、もしかしたら日本が世界一の経済大国になって成し遂げるべきことなのかもしれません。とは言え、ここまで劣化した日本が世界一なんてことは有り得るのでしょうか。