独裁者は生死も隠される。北の金ちゃん。プーチンに創価学会の独裁者など死んだとの噂が飛び交っています。
その一人プーチンがこの期に及んで外遊に出掛けるのだそうです。本物なのでしょうか。
宮崎さんがこの外遊を取り上げてくれています。果たしてプーチンの狙いは。それにしても、外遊するところを見ると生きているのかも。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和四年(2022)6月28日(火曜日) 弐 通巻第7386号
プーチンが集中した外遊へでかける
タジキスタン、カザフスタン、トルクメニスタン、そしてベラルーシ
「こんなときに?」
「いや、こんなときだからこそ」。
プーチンは集中的に外遊する。といっても旧ソ連圏ばかりだが、タジキスタン、カザフスタン、トルクメニスタン、そして ベラ ルーシだ。ウクライナ侵攻後、「モスクワ詣」をしたのはベラルーシのルカシェンコとカザフスタンのトカエフ大統領だった。
最初の訪問国は軍事同盟を結ぶタジキスタン。首都のドシャンベでラフモン大統領と会談する。同国には500名前後のロ シア 兵が駐屯しているが昨今、中国軍が這入り込んで共同軍事訓練をしているのが気になるところだ。
謎の国、ガスリッチのトルクメニスタン訪問は珍しいが、アシガバートでは、アゼルバイジャン、カザフスタン、イラン、 トル クメニスタンの指導者を含むカスピ海諸国の首脳会談に出席する。トルクメニスタンはガスが豊富な資源輸出国だが、事実上の鎖 国をしていて、内政実情は謎だらけ。じつは筆者も個人では行けず、火山を見に行くという団体ツアーに紛れ込んであちこち を歩 いたことがある。
くわえてプーチンは6月30日からはベラルーシのグロドノ市を訪れ、「朋友」のルカシェンコ大統領と密談の続き。
こうしてまとめて外交を展開するわけだ。プーチン大統領が海外へでたのは2月初旬の北京。冬季五輪で習近平と会談し、 「無制 限」の友好を謳って以来だ。
さて今回の集中的外遊で、何が重要か。
プーチンにとってずばり最大の狙いはカザフスタンである。
ウクライナ戦争で、カザフスタンはプーチンの期待を袖に、ロシアを支援しなかった。なにをかんがえているのか、トカエフ 大統 領という男は? プーチンの疑心暗鬼。ひょっとしてカザフは中国へなびくのではないか? 猜疑が際限なく拡がる。
▲カザフスタンにはセミパラチンスクとバイコヌールがある
現実にカザフスタンは中国と鉄道が繋がり、対欧州への輸送は大量の物資を運搬しているうえ、逆方向のトルクメニスタン から 中国へのガスパイプラインが繋がっている。いずれも通過料が転がり込む。
こうして戦略的重要性ばかりではない。カザフスタンは世界一のウラン産出国、クロム鋼世界第二位。くわえてハイテクに 必要 はレアメタル、レアアースの産地であり、資源政治学でも重要である。日本の要人も頻々に訪問しているが、投資で最も巨額を投 じているのは、じつはアメリカだ。
ロシアにとって、もうつ二つ。
セミパラチンスクとバイコヌールだ。前者は核実験場。交渉はソ連時代から宇宙衛星の打ち上げ基地で、依然としてロシア が租 借している。
カザフスタン政変は2022年1月に起きた。
30年に亘ってカザフを支配してきたナゼルバエフ一家が失脚し、側近のマシモフ元首相、安保会議議長(つまり秘密警察 のボ ス)が拘束された。暴動が起きたときはロシアが治安部隊を送った。この政変ではナゼルバエルの娘も失脚。つまり「ナゼル・ カーン」と呼ばれた王朝が終演したのである。
ナゼルバエフ前大統領は中国とのバランスを取り、経済発展に政治の主眼を置いて、97年にはアルマータから突如、首都 をア スタナ(その後ヌルスルタンと改称=都市計画は黒川紀章が担当)に遷都した(ヌルスルタンはナゼルバエフ前大統領の本名)
トカエフ大統領って、どのような人物かと言えば博覧強記、語学の天才。歴史学博士。元国連事務次長という国際人学者で あ る。新井白石が権力者に抜擢されたようなものだ。
来日経験も大統領以前に三回。にもかかわらず国際的に名前がさほど知られないのは外交畑を地道に歩き、目立つ行動を避 けて きたからだろう。ナゼルバエフ一家からすれば、飼い犬に噛まれたことになる。
トカエフは母国語とロシア語はもちろん、英語、フランス語もしゃべるが、じつは中国語が堪能(北京語学院に一年留学) だ
筆者はカザフスタンへは三回、行っているが、なにしろ広い国で(日本の七倍)、首都のヌルスルタンは未踏。アルマトゥ が緑 のオアシスであり、しゃれたレストラン、カラオケ、夥しい中国人の群れについては他にも書いた。
▲プーチン、11月にはバリ島APEC出席へ
カザフスタンがかかえる緊急の課題は飲料水の不足であり、農作物が干ばつで枯れ、河川は汚染が目立つようになってい る。
シベリアからの運河建設を途中で中断しているロシアとの交渉が急がれる。プーチンは兵器ならぬ水の供給を交渉のカードと する かもしれない。
6月27日、インドネシアの招待に応ずるかたちで、プーチンは11月にバリ島で開催されるAPECに「出席する」と意 向を つたえた。
プーチンも生き残りに必死なのでしょう。果たして思惑通りになるのでしょうか。その健康は大丈夫なのでしょうか。それともやはり影武者でしょうか。