EVの世界でおかしなことが起こっているようです。倒産寸前だったChinaの企業がEVで株価が10倍なのだそうです。何とも怪しそうです。
宮崎さんがそれをどう読むかと取り上げてくれています。イーロン・マスクを思い浮かべますが、その企業がChinaというだけで怪しそうに思ってしまいます。
さて、どうなるのでしょうか。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和三年(2021)4月20日(火曜日) 弐 通巻第6872号
「世紀のペテン師」マドフの獄中死から教訓とするべきは何か
倒産寸前だった恒大集団、EVで株価十倍の奇跡。これをどう読むか
まずはハーバード・マドフの想い出。世紀の詐欺師はポンジ・スキーム(ネズミ講)の原理を応用してウォール街でのし上がっ た。
ご先祖は東欧から移民してきたユダヤ人で、最初はユダヤ人コミュニテイィで信用を確立し、NASDAQ会長という輝かしい 肩書きもあった。
その彼がセレブの集まりで、そっと囁くのだ。
「じつは内緒のもうけ口がある。年利10%だ」。
ころりと騙されて、「マドフ投資会」に大金を預けたセレブたちのなかには、有名スポーツ選手、GM金融子会社の大幹部、あ のスピルバーグ監督。日本の金融会社数社も被害にあった。
搾取したお金は空前の650億ドル。逮捕・起訴され、150年の禁錮刑で収監され、4月14日に獄死した。この世紀のペテ ン師の人生は「嘘の天才」というタイトルで映画化された。主演はロバート・デニーロだった。
さて場所は上海。おりから開催されているのは「上海自動車ショー」。中国最大の自動車ショーだが、ことしは参加が1000 社、トヨタもEVモデルなど三点を展示、数十万人が訪れる予定で、4月28日まで。しかし、このショーで話題を浚ったのはト ヨタでもテスラでもなかった。
天下の名門BMWの隣のブースは、初耳のEV自動車「NEV」(恒駆)が並んだ。
この会社はエバーグランデ(恒大集団)。香港の株価、過去12ヶ月で十倍。時価総額はなんと870億ドル。
おっと、この新車NEVは一台も売れた実績がない。
イーロン・マスクのEV「テスラ」は、一応、50万台を売って、トヨタの二十分の一の売り上げ、ただしマスクのEV時価総額 は、トヨタの四倍。トヨダEVの昨年度の売り上げは、たったの3300台!
なんとも不思議なことがあるなぁ、と感心している場合ではない。
NEWの親会社は「恒大集団」(英語名がエバーグランデ)。率いるのは許家印。2017年フォーブスの富豪ランキングでは 中国の一位だったこともある。
ところで、名前が酷似しているが、許家屯と許家印(恒大集団CEO)の関係はまったくない。
専門家の樋泉克夫氏の分析では「両人が「家」の文字を使っていますが、基本的に同じ文字は一族の同世代が使うものですから、 たとえば李一族で「澤」を使うのは李嘉誠の息子の世代で、李澤楷と李澤鉅。父と息子の間では同じ漢字は使われないはずです。 許家屯の元の名前は許元文。許家屯はたしか江蘇省の産で、許家印は河南出身。以上から考えて、両人の間には特段の血縁関係 は」ない、という。
許家屯は元新華社香港支社長、天安門事件では趙紫陽と親しかったため粛清を懼れて、1990年に米国へ亡命し、2017年 頃、百歳で死去した。
しかし農村出身の許家印がよく、まぁ、ここまで出世できたものですね。
樋泉教授の分析を続けると「なんせ匪賊や馬賊でも、度胸と時の勢いで共産党幹部として栄耀栄華の生活を満喫できる国である。 おそらく日中戦争末期から国共内戦期、文革、それに野蛮強欲市場経済・・・その都度、社会がシャッフルされる。時の勢いに 乗ったやつが勝ち。チャンスがてんこ盛りなんでしょうか」。
さて恒大集団である。中国最大のデベロッパー、全土に高層マンションをおったてて、大半は空室。空恐ろしや、借財は13兆 円。倒産寸前といわれ、ドル建て社債は14%、つまりジャンク債だった。
その恒大集団がEV製造に乗り出した。最初はバッテリーの生産、そして欧米五社のエンジニアリング会社と契約し、大工場を 建てて、「恒馳」ブランドのEVカーを宣伝、そのデビュが上海の自動車ショーだったのである。
EV参入発表からIPO(株式公開)。株価はEVブームに載って鰻登りとなった。時価総額は870億ドル!
このニュースに接したとき、咄嗟にマドフのことを思い出したのだ。
この企業が契機になってChinaのバブル崩壊が遂に起きるなんてことになることを期待したいものです。
それとも、まんまと逃げ切るのでしょうか。
いずれにしても、Chinaの企業が絡んでいるとなると余りにも怪しそうです。マネーゲームの好きな人達の騙しあいでしょうか。