明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



三島が共訳した『聖セバスチャンの殉教』は、作者のダンヌンツィオが、バレリーナ、イダ・ルビンシュタインの中性的な美貌に打たれ、聖セバスチャンに見立てて書いたそうである。ルビシュタインといえば、踊りはからきしながら、金は持っていたためか、ディアギレフに取り入り、バレエ・リュスに加わったダンサーである。バレエ『クレオパトラ』では、ほとんどただ立っていただけだったらしいが、確かジャン・コクトーが、その美しさに対する賛辞を残している。 三島がそれを眺めて、始めて悪習に手を染めたというレーニの『聖セバスチャンの殉教』は、この頃の絵画にありがちな両性具有的である。ガッチリした身体にポッチャリホッペは、まさに木に竹を接いだ不自然さであるが、アンテノウス同様、このあたりが三島の好みだったのであろう。本人が聖セバスチャンの殉教を演じた写真が残されているが、本人がやっていなければ、間違いなく私が作るべきところである。やりたいことを、すでに本人にやられていたなどというのは三島くらいなものである。

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