明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



世田谷文学館では、会期中に会場を背景に撮影するということで、3月からスライドを流すが、荷風像は初日から展示することになった。1体は新作だが、テーマからして畳の上で七輪で煮炊きする荷風。これでいくことにした。荷風は市川の居候先で、高い家賃を払っているのだから構わないと始めたようだが、家主としてはたまったものではない。荷風先生をお迎えしたつもりの家主も、出ていってもらうことになる。もっとも、それ以外の問題もあり、一つには、先生の○き癖があったようだ。それも家賃の内とでもいうのであろうか。私はかつて乱歩が屋根裏の穴から下を覗く画を作ったが、その背後に寺山と荷風を立たせるのは簡単である。 散らかり放題の独居の様子が何カットか残されていて、荷風は孤独な最後だったといわれるが、生活態度に、荷風と共通のものを漂わせているといわれる私としては、それは莫大な財産あってこそではあろうが、楽し気にみえる。 “男らしい”死に方という意味では、真反対ではあるが、三島と双璧であろう。

過去の雑記
HOME

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )