制作中のTには親戚が多い。その人たちと比べてTの表情は一味違う。他の人たちは写真に写されることだけ考えているが、Tだけは他のことを考えているようである。その憂いを帯びた表情は、ホントは何か言いたいことがある、というようにも見える。それはTの立場がそうさせていると思うのだが、それはTの背景について知っているからそう見えるのかもしれない。しかし、私がそう見えるのならそう作るべきであろう。目の前にようやく立ち上がったTには、多少そんなニュアンスが出ているのではないか。それが立場によるものだということは、横に置かれる予定の写真機に担当してもらおう、と考えていて、そのためにはことさらキンキラにして、“胃液がこみ上げてくるのに耐えているような”表情を際立たせよう、と企んでいる。そろそろ乾燥に入らないとならない。
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