明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



今度は本当に柳田國男の制作に入る。といっても頭部はすでにあり、80パーセントは出来ているといってよい。頭部を元に身体を作るわけだが、この場合目分量でいきなり作りだすが、すべてにわたって目測の私が、首と胴体のバランスは、中でも自信があるところである。ただし20年近く黒人ばかり作ってきて、日本人作家制作に転向した一作目が、あろうことか澁澤龍彦で、この時ばかりは脚を数度にわたって切断することになった。初の日本人で、おっかなびっくりということもあり、様々なところに配して撮ろうと考えていたので、やたらと小さく、二冊目の拙著の表紙にはなったが展示は1、2度であったろう。 正直いうと作家シリーズでも極最近失敗している。それは『中央公論Adajio』の表紙用に作った森鴎外である。使い古されたありきたりの文豪像は作る気にならず、陸軍軍医のトップ、軍医総監でもあった鴎外に軍服を着せることにした。腹の中に、ムッツリした文豪に『ベルサイユの薔薇』みたいな格好をさせてみたら面白いだろう、という気分があったことは否めないが、軍服という物は良くできており、特に儀礼用は偉い人を、偉いことが見て判るように作られている。私の思惑に反して結局“偉い人”となった。作ったこともない軍服のアイデイアに浮かれすぎたかバランスが悪く、画像で少々調整することになった。秋に展示することになりそうである。それまでに直すことにする。

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