田村写真にてフラットニングと台紙に貼るドライマウント。私はオイルプリントを始めた当初、この両方とも知らず、焼いたスルメ状態のプリントを、カブトムシのように箱に入れて持ち歩いた。ドライマウントは熱でプレスすることで、油成分の加減か、画面がぐっと締まり、風合いが落ち着く。 私のオイルプリントは画用紙を使用しているが、これは私の勘違いから始まっており、オイルプリントの特徴でないことは明記しておきたい。きっかけは90年代の初めの松涛美術館の野島康三展の図録である。会期終了直後に古書店で入手した。大判カメラを持っていなかったので、ブローニーフィルムで即、実験を開始した。つまり始めた当初、私は野島作品の実物を見ていない。野島が行った顔料を使う、いわゆるピグメント法写真にはガム、ブロムオイルがある。画用紙にプリントされていたのはガムプリントの方であり、私は最初に混同してしまったのである。結果的に、用紙を自由に選べる利点を生かしたことになり、“石塚式”は画用紙の風合いが特徴となっている。ただ微細な表現を求めた場合、表面が凸凹した画用紙よりスムースな用紙の方が有利なのは当然であろう。 使用するゼラチン紙は、均質性が成否を左右するが、田村写真製ゼラチン紙は安定しており、オイルプリントの醍醐味を味わうことができる。今後は画用紙でも表面の平滑なゼラチン紙の制作をお願いしてみたい。間違いなく表現の幅が増えることになるだろう。 25日からの個展であるが、出産間近の女性が検査結果によれば来てくれるという。正直、あまり胎教にいいという感じはないので、無理しないほうが、といっておいた。
没後50年『谷崎潤一郎展』谷崎像出品
神奈川近代文学館 4月4日~5月24日
石塚公昭個展『ピクトリアリズムⅡ』
2015年4月25日(土)〜5月9日(土)
オイルプリント制作法
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