朝、母はよくニュースを観ている。“最近ギターを見に人の家に入り込んだ娘がストーカーに刺されたね。”それ2つの事件を混ぜたろ? 午後新船橋まで出かけ、士業の先生と呼ばれる方々に囲まれ様々な手続きをする。私は社会人のフリをしているだけ、ということがすっかり露呈しており、一室で待ち時間に様々な話が交わされるが、私とは視線がほとんど合わず、私はいないかのように事は進んで行く。 何回か書いたことがあるが、子供の頃、どこかの王様に石の塔に閉じ込められ、「算数や宿題はやらないで良いから、ここで好きな事だけやっておれ」。そこには立派な図書館があり、画用紙、クレヨンその他使い放題。などという境遇を夢見たものである。実に可愛らしい慎ましい夢だと思うのであるが、先日の深川江戸資料館の個展を顧みるに、そのあげくが炸裂した結果といえなくもない。友人知人には、幼い我が子が、例えばポカンと口を開けたまま東の空でも眺めていたら、良からぬことを考えているに違いないから、頭でもはたいて是非我に帰らせたまえ、とアドバイスすることにしている。
石塚公昭HP
『タウン誌深川』“常連席にて日が暮れる”第5回