明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



私はずっと自分の作品を、人形でなく、人間を撮影するつもりで撮影して来た。それがここにきて、人間でなく人形だからこそ、こうなる、という手法に至るとは思わなかった。円朝撮影時に書いたが、目で見る分には、ムラ加減がリアルにみえた塗装が、不思議なほど汚れに見えてしまって撮影中にフラットに塗り直した。この手法はどうも、その質がより出てしまうようである。なので人形である、という質が露になった結果であろう。 8月10日〜20日に深川江戸資料館『深川 お化け 今昔』に円朝像と写真作品を展示する。今のところこの手法では3点(正確にいうと、寄席の前に立たせた圓朝は、陰影もあり、今までの作品に近い)お時間のある方には観ていただきたい。写真には見えないだろう。また写真であるなら、どんなデジタル処理をした、と思われるだろうが、実は切り抜いて貼って、多少の色調整くらいである。私の悪い癖は、人を騙す(惑わす)ような作品を作っておいて、上手く騙されると、なんで騙されるの?実はこうなんです、と解説したくなることである。そういえば、冗談で人を騙した時も、すぐ耐えられなくなってバラしてしまう。どうもたいした悪党にはなれそうもない。 円朝像の展示は背後に金屏風、両脇に燭台、火鉢鉄瓶を並べ、幕末、明治期の高座調の展示にしてみたい。ところが全生庵にも圓朝像展示が決まったので、もう一体、圓朝を作らなければならなくなった。2体作るなら、本来撮影用にもう一体は立像にするところだが、円朝ばかりはどうしても座布団に座った高座姿しかないだろう。

HP

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