拾得というのは豊干禅師に拾われたから拾得というそうだが、虎を撮影し早く豊干を完成させたいところだが、虎はむしろ寒山と拾得、虎と豊干が寄り添うように眠る『四睡図』にかかせない。猫の虎化を断念したのはこれによる。つまり事前に飼い主にマタタビ導入をお願いしてみたところで、寝ている猫など撮れる物ではない。だったらグウタラしている動物園の虎に猫の部品を貼り付けた方が良さそうである。豊干は阿弥陀如来の化身、寒山と拾得は文殊菩薩と普賢菩薩で獰猛な虎と穏やかに眠る姿は悟りの境地を描いたものとされる。 修業のため山を降りないと決めていた慧遠法師が、訪ねて来た陶淵明と陸修静を帰りに送って行く際、つい話に夢中になり、境界を越えてしまって思わず笑う三人を描いた『虎渓三笑図』も、おっちょこちょいの愉快な三人組という訳ではなく、三人はそれぞれ仏教、儒教、道教を象徴しており、俗世を離れた禅味あるいは三教一体を表している。