英語道(トラスト英語学院のブログ)

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変わりつつある世論

2019年07月09日 | 2020年大学入試制度改革
昨日の信濃毎日新聞朝刊の社説です。


英語民間試験 今ならまだ立ち止まれる

大学入試センター試験に代わる共通テストの実施まで1年半。英語で活用する民間試験からTOEICが外れることになった。実施団体が取り下げた。

ほかの民間試験も詳しい日程や会場が固まっていないところが目立つ。試験の運営に関する協定も締結できていない。導入の日程ありきで急ごしらえした制度のほころびがあらわになっている。

大学側の姿勢も慎重だ。国立大の4割は民間試験の成績を合否の判定に使わない。北海道大、東北大、京都工芸繊維大の3校は、一定の成績を出願資格にすることを含め一切使わないと決めた。

入試で最も大事な公平性や公正さを欠くとの判断からだ。国立大以外でも岩手県立大や岡山県立大が、いったんは利用するとした方針を撤回している。

民間試験はそれぞれ目的や尺度が異なり、留学のための試験も、商用の英語力を測る試験もある。結果を一律に比較できない。語学力の国際指標に当てはめるというが、それに用いる対照表は公式な検証や審査を経ていない。

さらに見落とせないのは、住んでいる地域や家庭の経済状況によって、有利、不利が避けられないことだ。試験によっては受験会場が都市部に限られ、交通費や宿泊費の負担が生じる。受験料が2万円を超す試験もある。

公平な受験機会を確保できるのか、危ぶむ声は当初からあった。にもかかわらず、根本的な解消策は取られていない。経済的な困難を抱える生徒への支援も具体化しないままだ。導入が近づくとともに不安や戸惑いは増している。

政府の顔色をうかがうような大学の中途半端な対応も無用な負担を強いる。民間試験で中学卒業程度の成績を取れば出願を認める大学が少なくないほか、成績を問わないところまである。それなら、受験生はいったい何のために時間もお金も使って民間試験を受けなくてはならないのか。

東京大元副学長の南風原(はえばら)朝和さんらは先月、民間試験の利用中止を求める請願を、語学を専門とする大学教授らおよそ8千人の署名とともに国会に提出した。試験の質の審査や運営を監視・監査する仕組みがないことも、公平、公正を損ねると指摘している。

入試改革は本来、大学が主体となり、高校の合意も得て進めるべきものだ。その前提を欠いたまま、ずさんな制度の導入を政府が強行し、受験生がしわ寄せを受けることがあってはならない。今ならまだ立ち止まることは可能だ。
(2019年7月8日)

信濃毎日新聞は物心ついた頃から毎日読んできましたが、どちらかというと保守的であり、いわゆる controversial な件についても、事実関係を淡々と伝える論調でした。しかし、昨日の社説では「今回の英語民間試験導入はおかしい」と、一刀両断に論じています。

この社説をツイートしたところ、たくさんのリツイートをしていただきました。少しずつ、でも確実に、世論が正しい方向に動いているのを感じます。


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