英語をある程度身につけた人には、英語学習のペースメーカー的なものが必ず存在する。
私の場合、月刊誌「ENGLISH JOURNAL」が、間違いなくそれだろう。大学に合格し、受験英語から実用英語への転換を模索していたとき、アルクの「1000時間ヒアリングマラソン」を申し込んだ。その教材の一つとして、「ENGLISH JOURNAL」が毎月送られてきた。
時は1992年。インターネットもなく、生の英語に触れる機会が皆無だった時代。付属のテープで初めて耳にする英語のシャワーは、当時の私にとっては苦痛以外の何物でもなかった。でも、大学の通学電車の中、辛抱強く、繰り返し聞き続けた。半年が過ぎるくらいに英語のリズムが少し心地良くなった。
ヒアリングマラソンを修了しても、「ENGLISH JOURNAL」の定期購読だけは続けた。今でも覚えているのが、就職一年目の連続休暇で出かけた独り旅で、付属のテープを車中で終日聞き続けた結果、聞こえてきた英語に対するリアクションが明らかに変わったことを思い出す。あの瞬間がなかったら、英語の楽しさも知らなかっただろうし、留学なんて考えもしなかっただろう。
留学で渡米して最初に撮った、シアトルのアルカイビーチの写真。この場所に来られたのも、「ENGLISH JOURNAL」で英語を聞き続けたからだと言える。
「ENGLISH JOURNAL」は私の英語人生を変えてくれた、大きな存在だ。その「ENGLISH JOURNAL」が来年1月号を最後に休刊するというプレスリリースがあった。また一つ、英語学習のツールが失われたようで、時代の変遷を感じざるを得ない。