「首に何かしこりみたいなものがあるね」
2007年6月29日、当時住んでいた南箕輪村の特定健診の問診で、医者から出た一言。ほんの数分の形だけの問診。でも、医者は異変に気づいた。まさに、寝耳に水、青天の霹靂。英語で言えば「out of the blue」とはこのことか・・・?
その数日後、かかりつけ医でエコー検診を受けると、「確かに何かあるな・・・」と不安げな言葉。地域で一番大きな総合病院に紹介状を書いてもらい、9月に穿刺吸引細胞診を行い、甲状腺乳頭癌の診断を受けたのが9月のことだった。
そして、甲状腺全摘出手術のために松本の信州大学医学部附属病院に入院したのが、ちょうど15年前の今日、2007年11月8日。
入院5日目の12日には、8時間以上にも及ぶ大手術を経験した。麻酔から覚めた時の苦痛は今でも忘れない。でも、早くいつもの日常に戻りたいと、翌13日から、病院の階段を上り下りして体力の回復を図っていた自分を、今は愛しくさえ思える
。
あれから15年が過ぎました。50歳となった今は、健康を取り戻し、毎日午前中は走り、午後は10時まで仕事をしています。そして、今週末、11月13日、信州大学医学部附属病院がある松本市でフルマラソンを走ります。2007年、大手術の翌日に覚束ない足取りで病院の階段を上り下りしていた自分に、15年後のその日にその街でフルマラソンを走っているなんて、誰に想像出きるでしょうか。
当たり前が当たり前じゃなくなった時に、平凡な日常のありがたさに人は気づきます。マラソン大会に出場すると分かるのですが、ランナーの多くが、ボランティアさんに「おはようございます」「よろしくお願いします」「ありがとうございます」と気持ち良く挨拶をしています。それは、大会を支えてくれる関係者の方への謝意の表れであると同時に、走ることが出来る健康や日常への感謝でもあるように思います。
今週末の松本マラソンも、大会関係者、家族、そして、平凡な日常に感謝して、気持ち良い挨拶と共に、松本の地を走り抜けたいと思います。15年前のあの日を思い出しながら・・・。