進学校では共通テストの出願書類が配布され、高3生たちの多くはいよいよ真剣さが増してきた。しかし、その一方で、「英語が苦手なら、まずは単語とイディオムの暗記だぞ!」と言い続け7月に基本イディオム・語彙100問チェックテストも行って意識づけしてきたのに、既にその基本姿勢を忘れてしまって、問題を解くことが英語の勉強だと勘違いし続けている生徒も少なからずいます。
塾や予備校に通っているからと言って英語ができるようになるわけではありません。それをきっかけにして、いかにして血のにじむような努力ができるか。
こういう一生懸命さや辛さが伴わずして英語が習得できるとは思いません。ちょうど6年前の今日、2017年9月15日付の日本経済新聞の『私見卓見』で、NHKラジオ「実践ビジネス英語」講師の杉田敏先生が正論を述べられていましたので、以下に引用します。
『英語習得を阻害している「神話」』
日本の語学ビジネスの市場規模は約8700億円と推定されている(矢野経済研究所調べ)。語学学校や学習材料、語学周辺ビジネスなどを含めて日本人が語学学習に投資する年間の総額で、大部分は英語ビジネスと考えられる。
ところが、英語を母語としない人たちを対象とする英語能力測定試験TOEFLのスコアにおいて、日本人の平均点は世界でほぼ最下位のグループに属している。多大な投資をしながら費用対効果の悪い原因は何か。文部科学省の責任や教師の質を挙げる識者もいるが、最大の元凶は学習者自身の「甘えの構造」だ。
英語をある程度モノにするには最低2000時間の学習が必要だといわれる。英会話学校に週1、2回行ったくらいでは上達しないのは当たり前である(=1回/週、1時間英会話学校に通って年間でたった52時間にすぎない)。学校の音楽の時間にピアノを習っただけでピアニストになった人はいない。さらなる自助努力が必要だ。
ちまたには「楽しみながら」「知らず知らずのうちに」「涙なしに」など、簡単に英語をマスターできるような暗示を与える題名の本や教材、語学学校などの宣伝文句が氾濫している。しかし、こうした「神話」に惑わされてはならない。ただ「シャワーのように」英語を聞いていたのでは、どんなに長時間行っても効果が上がるはずはない。
語学の勉強は決して楽ではない。(後略)
英単語帳を何度も繰り返す。何回も基本英文を音読して暗誦する。文法を徹底的に鍛える。毎日リスニングをする。単調な繰り返しの中にその意義と達成感を理解できなければ、成長はない。