中学生の授業でも、英語ができる生徒には高規格な語彙を教えています。例えば、長野県の高校入試の英語長文で出題された咸臨丸の話では、天候悪化や船酔いについて、inclement や nauseous という英検準1級以上レベルの英単語です。
昨日の授業では、versatile(多才な)をTEX加藤先生の『金フレ』に載っている語呂、「お婆さん、タイルも作れるなんて、なんと多才な」を紹介して、中3生が大受けしました。
授業の教材に出てきた新出単語以外に、このように紹介した英単語をカードなどにまとめて覚えるだけでものすごい語彙力アップにつながると思うのですが、そこまで徹底できている生徒は少ないです。でも、かつて、私が解説した文法事項や英単語、そして、マニアックなイディオムまで完璧に覚えた生徒が一人だけいました。結局、彼女は東京大学に現役合格しましたが、東京の予備校に夏期講習に行っても、「特に新たに学ぶことはありませんでした。先生に全部教えてもらっていることばかりでしたから」とさえ言ってくれました。
「授業で扱ったことなのに、なぜ覚えていないんだ?もったいないヽ(`Д´)ノ」と思う時、いつも思い出す参考書があります。『英文法講義の実況中継』(語学春秋社)です。その“はしがき”には次のような一節があります。
「そもそも本書が生まれる契機となったのは、ある熱心な学生が私の講義を癖のある口調までも含めて細大もらさずノートに書きとめて勉強した結果、信じられないほど成績の急上昇を見せたことでした」
その後、実況中継シリーズはベストセラーとなり、大学受験生の絶大な支持を受けているのは言うまでもありません。
振り返ってみると、私も浪人時代に師事した代ゼミの潮田五郎先生の授業を、一年間通して最前列の席に座って受講し、講義も録音。帰宅後はその録音テープを聞き返しながら復習して、先生の口調を一言一句真似るようにノートに記していました。
当時のテープは今でも大切に保管しています(^^)
安くはない月謝を払ってせっかく授業を受けているのですから、ここまで徹底できれば成果は明らかです。