長年愛用してきた、ニールプライドのハーネス。
前回のウインドで、ウエストをサポートするベルトが、半分破けてしまった。 およよ
伸縮する部分なので仕方ないのですが、以前破れかかって修理した部分(半分)以外の残りがやられた訳です。
車なんかの修理で良く有る話ですけど、車体全体が古くて弱くなって来ると、有る部分を修理すると、今度は他の部分に負担がかかって壊れるというのに似ている。
いい加減ね、新しいハーネスにすれば良いんですけど、 長い年月をすごしてきた相棒ともいえるこれを、なかなか捨てる気にならない。
なぜなら、 これまで何度も流した”悔し涙”を、何時も側で見てくれていたのがこのハーネスだから。
ウインドサーフィンは 常に自然との闘いで、自分の能力が自然の力とバランス取れて初めて成り立つスポーツ。
ほんの少しでも相手の力が勝ると、ボロボロになるまで叩きのめされる。
逆にこちらの力が強ければ、今度は面白くもなんともない。
自然の力は常時変化していて、 イーブンの状態から、あっという間に巨大化して襲いかかって来ることが多々有る。
経験と能力が勝ればそれを乗り切れるが、 まだヒヨッコの時は、 沖から浜まで戻るだけで”死ぬんじゃないか!?”と思う恐怖に何時も追いかけ回された。
少しでも慢心が有ると、簡単にフルボッコされるので、そんな時は自分に対する強い反省が沸くし、後悔と同時に、際限ない悔しさにも包まれる。
ガキじゃ~無い、成人した男が、そのふがいなさで一人涙を流す訳だけど、全身ずぶ濡れが普通なので誰も気づかない・・・
ただ、このハーネスだけはそんな僕の姿を見つめてきた。
使った後に必ず水洗いをするけど、乾いと時に出てくる白い塩の文様は、その度に違う。
それって、乗る度に違う海と全く同じで、 これは又その度に違う自分との出会いを経験しているのに似ている。
縫い跡は、綺麗でも何でも無く、帆船の修理に使う蝋引きの特殊糸が織りなす乱暴な風合いは、ミシンの文様とは全く粗雑さだけど、それもまた、その時の自分であるのだと・・・・