先日、Yahooのトピックで、スズメが減少している記事を見た。日比谷公園での調査、減少している原因などが書いてあった。全国的にスズメが減少しているのは知っている。その記事の中で、スズメの寿命は1年3ケ月、長くても2、3年。スズメのヒナの75%が成鳥にはなれない、というような説明があった。あらま~。
スズメとは子どものころからだから、長い付き合いである。出会いもいろいろある。経験としてスズメの生態は知らないわけではない。とはいえ、スズメの生態の研究など、きちんと読んだことがない。身近な故に知らない、ということも多いはずだ。
そこで「わたしのスズメ研究」(佐野昌男著 さ・え・ら書房)と「スズメ大研究」(国松俊英著 関口シュン絵 PHP研究所)を取り寄せた。「わたしのスズメ研究」はやさしい科学、動物セットの一冊、小学校高学年用である。さらさらと読み終えた。
スズメの仲間には15種類あって、そのうち日本には2種、スズメとニュウナイスズメがいる。スズメは一般に留鳥だが、ニュウナイスズメは旅鳥である。以前、南足柄の工業団地予定地がニュウナイスズメの営巣地なので、工業団地の開発をやめてくれと神奈川県に訴えたことがある。県から、環境アセスの結果、ニュウナイスズメの営巣には影響がないという型どおりの返事をもらった。もっともその工業団地はできあがったが、うまく機能していないようである。人間のやることは、だ。
スズメとよんでいるのは学名はPasser montanus、英名をTree sparrowという。いま新たにユーラシア大陸に分布しているイエスズメ(英名はHouse sparrow)がロシアから北海道へそして北海道からから南下の兆しを見せているという。イエスズメとはヨーロッパでよく見かける頭が灰色のスズメのことだ。ヨーロッパだけでなく、ユーラシアにもいる。バングラデシュでも見た。スズメより体が大きい。私はこの頭の灰色のスズメを、勝手にヨーロッパスズメと呼んでいた。 英語やドイツ語のヨーロッパの鳥の図鑑持っているくせに、スズメの項など見もしなかった。めずらしい鳥しか調べなかったのは手落ちだった。
スズメのルーツはナイル川上流、祖先たちは進化をしながらナイル川を下り、アフリカ大陸へ8種類が分散した。ナイル川を下ったスズメは中近東に東進しながら、ヨーロッパ大陸とアジア大陸に7種類に進化し、分散して行った。その中でイタリアスズメはアフリカからチュニジア、シチリア、イタリア半島へ。現在イタリア半島だけにしか住んでいない、どうもアルプスが越えられなかったかららしい。姿も違うが、イエスズメの方が人間にはなれなれしく、イタリアスズメの方が警戒心が強い、というのである。
これを読んですこぶる残念がっている。イタリアにはなんども足を踏み入れているし、スズメも見ているとは思うのだが、知らない故にヨーロッパのスズメと言う認識以外に注意して見ていない。
同様にモロッコからジブラルタル海峡を渡りスペインに入ったスズメ、ここでもピレネーに阻止されてヨーロッパ大陸に入り込めないらしい。もちろん、スペインにだって行ったことはある。鳥の写真も撮っている。ツバメは印象に残っているのだが、スズメは・・・
筆者の佐野さんによると、日本でもスズメのいない地域があるようである。小笠原諸島にはいない。ヘクラ島にもいない。人間と共に生きてきた鳥なので、集落と米の耕作のあるところには来るが、過疎化するとスズメもまたいなくなると言う。興味深い話である。
スズメのカップルは4月、営巣し、卵を5,6個産む。最後の卵は止め卵といい、見た目がちょっと違う。止め卵を産むと、合図のように抱卵し始める。抱くのはオスも抱くが、メスの方が三分の二ほど多く抱く。抱卵12日目にいっせいに孵化する。孵化し、巣立ちするまでの期間を育雛期といい、ヒナに餌を与えることと、ヒナを温めるのが親の仕事。育雛期間は14日間。親とほぼ同じ大きさになる。巣立ちしたヒナは他の鳥同様、二度と巣に戻ることはない。ただしこの期間はヒナにとっては一番危険な時期、外敵に襲われて命を落とすことが多い。巣立ちして11日目、巣立ったヒナたちは親から別れ、ひとり立ちしていく。巣立ちした若鳥たちは親たちの縄張りを離れ、群れをつくり、移動していく。
孵化率はおよそ60%、巣立ち率は30~50%、寿命は平均3~4年程度。
スズメのあごにある黒斑、あれは年齢をあらわしているとか、ヒナには黒斑はない。なるほど、なるほど。雄雌の違いは外見からは分からないそうだ。いま私の投げ与えるシフォンをもらいに来ているスズメたちは若鳥の集団のようだ。へ~、へ~。おもしろかった。