日々是マーケティング

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NHKだけ?-社会とのズレ-

2005-01-07 11:23:01 | マーケティング
どうやらNHKの海老沢会長が、「辞任する方向」のようですね。
「辞任」と書かないのは、「辞任を示唆する」という報道だからです。
あくまでも「示唆」しただけで、「辞任する」とはっきり言っていないのが、この人らしい気がします。
そして、その理由が「受信料不払い増加」というのも・・・ズレています。
むしろ「紅白歌合戦の平均視聴率が40%を切ったから」といったほうが、タイミング的には良いと思うのですが・・・。

「受信料の不払い」が増えたのは、NHKの不祥事が次々と発覚した頃からです。
昨年11月末か12月始めには、労働組合から「辞任要求」が出されていたと思います。
一連の事件と受信料不払い増加の経過をつき合わせてみれば、なんとも不可解な時期での「辞任の示唆」です。
やはり「紅白歌合戦の視聴率」のほうが、辞任への動機となったように思えます。

ところで、NHKは「紅白歌合戦」が、今でも平均視聴率70%近くとれると思っていたのでしょうか?
思わず「マジっすか?」と聞きたくなりますが、おそらく本気でそう思っていたのでしょうね。
今や「紅白歌合戦」が、「国民的年末恒例テレビ番組」ではなくなっていることに気づかない、と言うのがNHKの悲しさです。
まぁ、それを言ったら「レコード大賞」も、似たようなものですが・・・。

NHKの悲しさがどこにあるのか?といえば、一般社会とのズレです。
今は、K-1などの人気格闘技のスポーツの中継がありますし、大都市では「年越しライブ」や遊園地での「カウントダウン・パーティー」等があります。
海外で過ごす方も、多くなりました。
年末の過ごし方が、多様化してきています。
そんなことぐらい、分かって良そうなのに分からない。
何故分からないのか?
それはいたって簡単です。
「現場」を見ていないからです。

「現場」というのは、リアルタイムでモノ・コトが動いている場所のことです。
「現場」を動かしているのは、ごくごく普通の生活者で、「お迎えのハイヤー」通勤をしているような人ではありません。
NHKは、企業全体が「お迎えハイヤー」通勤者状態だったのだと思います。
しかし、これってNHKだけのことでしょうか?
特に「部下」と呼ばれるスタッフを抱えている人たちは、「上からモノを見ているだけ」で「現場」を見ることをしていないと言うことはありませんか?
「上からモノを見る」というのは、もちろん「物事を客観的に俯瞰図でみる」ということを言っているのではありません!
「自分のこととして、時代の流れを見ていない」ということです。

昨年、次々と明らかになった企業の不祥事を見てみると、その総てが「社内指向」の企業ばかりでした。
「現場」という社外に、目を向けていなかったのです。
企業が、社会の一員として存在できる理由は「社内ではなく社外と言う『現場』」にあるということに、企業の偉いさんが気づかずにいた・・・でも、これは不祥事を起こした企業だけにいえることではなく、組織が大きくなった企業なら、どこでも孕んでいる「社会とのズレ感」なのでは?