日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

クリスマスソングを聞きながら、考えたこと

2008-12-21 23:08:12 | アラカルト
休日の1日、FMラジオを聞いていても余りクリスマスらしさを感じない。
ラジオでは、それなりにクリスマス・ソングが流れているのに、全体の曲調が明るい雰囲気ではないような気がするのだ。

そんな時、フッと思い出したのが24年前にヒットした「Do They Know It's Christmas?」だった。
ご存知の方も多いと思うのだが、この楽曲が作られた頃、アフリカ、特にエチオピアなどでは大飢餓が起き、毎日物凄い数の子供たちが亡くなっていた。
その子供たちを救おう!と言うことで、作られたのがこの楽曲だった。
翌年には「Live Aid」へと発展していく、ロックミュージシャンたちの活動なのだが、その時集まった義捐金は、瞬く間に消え去ってしまった。

その後、積極的に欧州を中心に始められるようになったのが「フェアトレード」だった。
「フェアトレード」そのものに興味がない方でも、今年女性の間に大人気となった「シアバター」などは、その「フェアトレード」の代表的なモノだといえば、身近に感じられるかも知れない。

その「フェアトレード」の動きは、ファッションの世界を動かしつつあり、伝統的なモノを作るだけではなくなりつつある。
ヴォーグが新進デザイナーとのコラボレーションの企画をしたり、若年層を中心に人気のあるブランドがジョイント企画をしたりして、話題にもなった。
もちろん、それまでの「民芸」的なモノではなく、製品としての品質も要求されるのだが、そのような中から彼女たちの多くは「お金を稼ぐこと」の大変さや、やりがいを見つけていると言う。

そして、今の日本の経済状況は急激な円高で、輸出産業は大変な状況に陥っている。
ならば、輸入産業に目を向けることで、今の経済状況を打開すればよいのでは?と、思ったのだ。
その中でも「フェアトレード」と言う方法は、相手国の生産者にとってもメリットが高く、何よりも経済的自立を支援することが出来る。
日本の繊維産業などは、中国産などに押され「絶滅危惧産業」となりつつあるが、そのような業種こそこ、綿花や獣毛を積極的に輸入出来るのでは?と、思ったのだ。
綿花なども、真っ白に漂白されたものである必要はない。
むしろ今は「オーガニックコットン」のほうが、人気も高く価格も高い。
と同時に、日本の農業技術などの支援も、同時に行うと言うことも考えるコトで、単なる「フェアトレード」と言う「品物の売買」と言う関係から、より深い関係を築くことが出来るのでは?

まだまだ、日本の経済が世界の人たちに贈れるモノは、様々にあるのでは?と・・・クリスマスソングを聞きながら思ったのだった。

Kotaro Oshio - Merry Christmas Mr. Lawlence (PV)

押尾コータローさんのギターが、私からの皆様への「クリスマスギフト」です。

CRMと企業

2008-12-21 08:49:36 | ビジネス
金融不安に端を発した、100年に1度の不況は止まることを知らない。
「ビッグ3」は、破綻回避のために政府支援を求め、様々なコトを模索している。
日本が誇る世界のエクセレントカンパニー・トヨタ自動車は70年ぶりに単体での赤字となる予測が出ている。

「いざなぎ景気」を上回ったと言われた、先の好景気は「生活者には実感の無い好景気」だった。
なぜなら、内需拡大による好景気だったのではなく、あくまでも輸出が好調だったことで得た好景気だったからだ。
その間に様々な「格差」が生まれ、ひとつの奇妙な「価値基準」が生まれた。
それが「勝ち組み・負け組み」だった。
「勝ち組み」とは、「お金儲けが上手い」と言うことだった。

その「奇妙な価値観」は、企業にもあったのではないだろうか?
もちろん、多くの企業は「社会的責任」を負っている。
反面、「利益を追求」しなくてはならない。
そのため、安価で雇用調整がし易い「派遣」を積極的に採用し、より安い部品調達をするために次々と国内の下請間での不毛な価格競争をさせたり、人件費などが安い海外へと生産拠点を移したのだ。

問題だと感じるのは、この間に盛んに言われていた「CRM(「コンシューマー(または、カスタマー)・リレーションシップ・マネージメント」)」だった。
「CRM」は、システム化され「こうすれば、消費者(顧客)満足はアップし、マネージメント出来る」と言うコトばかりが言われるようになってきたように思うのだ。
本当の「CRM」を理解するのではなく、システム化し利益を上げるための手法となってしまったのだ。

だからこそ、今こそ考える必要があるのではないだろうか?
消費者と言う名の生活者は、企業を良く見ている。
安易な雇用調整をするコトや、不毛な下請け間の価格競争で利益を上げる企業に対して「それって違うんじゃない?」と、疑問をもちはじめているのではないだろうか?

利益を求めるコトは大切だ。
ただ、忘れてはいけないと思うのは「健全な利益を上げるためには、生活者の協力が必要だ」と言うコトだ。
安易な雇用調整や下請け切りなどは、結局企業そのものの経営を脅かす要因となるのだ。
既に海外でモノを売り、利益を上げるコトが難しくなってきた。
とすれば、国内の生活者を大切するしかないのだ。
そして、そのような企業姿勢が「企業文化を創り」、海外で評価された時「モノ」ではない「グローバル企業価値」が生まれるのだと考えるのだ。

今は、企業にとっても厳しい時代だからこそ、本当の意味で「CRMの本質」を知る時期なのだと思う。