日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

金融危機は、業態変化を促すのか?

2008-12-16 20:48:15 | マーケティング
日経新聞のWEBサイトに、11月の欧州新車販売、26%減 今年最大の落ち込みと言う記事が掲載されている。
アメリカ「ビッグ3」の経営不振は、時代のニーズを汲み切れなかったというある種の経営戦略の失敗だったのだが、世界の自動車産業そのものが経営不振に陥り始めているようだ。

それを象徴するように夕方のテレビニュースでは、イタリアのフィアットが1ヶ月休業を決めたとあった。
フランスのサルコジ大統領は「新車買い替え支援策」を打ち出したと言う。
ただ、このサルコジさんの「自動車産業支援策」を国民は、冷ややかに見ているようだ。
と言うのもインタビューでは「だって、クルマに乗らないから関係ないわ!」という方が、少なからずいたからだ。

日産自動車とルノーのCEOとなっているカルロス・ゴーン氏は、「政府による支援策が必要」と言う内容の発言をしている(紹介記事は朝日新聞)。
確かに、自動車産業は主要産業のひとつだが、だからと言って特定産業に対する経済支援策というコトは、なかなか民意を得られるモノではない。
まして、自動車産業を中心にいわゆる「派遣切り・期間雇用社員切り」が進んでいる状況なのだ。
と同時に「下請け企業」に、そのしわ寄せがいっている。
自動車産業に関わる下請け企業なのだから、自動車産業支援策は下請け救済に繋がるのか?と言えば、決してそうではないと思うのだ。
と言うのも日本の場合、バブル崩壊後下請け企業そのものが、倒産や廃業により相当数減り、現在ある下請け企業そのものも、「今日や明日の資金調達が必要」と言う切羽詰まった状況に置かれているからだ。
自動車産業全体の支援策など悠長に待っていられる状況ではない、と言ったほうが良いだろう。

むしろ、このような「世界的自動車産業の不振」は、時代の変化と捉える必要があるのではないだろうか?
それを象徴するのが、先の「私たちはクルマに乗らないから、関係ないわ」というフランスの方のことばだ。

かつて、鉄道全盛期の頃は「クルマなんて、鉄道の相手ではない」と、経営者たちは考えていた。
しかし、時代は鉄道ではなくクルマを選んだのだ。
そして今、時代はクルマではない次のモノを選ぼうとしているのでは?
ただし、それは鉄道からクルマに代わったような、ひとつの大きな産業が取って代わると言うのではなく、様々な産業がクルマに代わるように感じている。
都市間の物流であれば、既に鉄道貨物が復活しつつある。
その背景にあるのは、「環境問題とコスト意識」だろう。
クルマにしても、既に都市部では「維持費と実際の利用頻度」を考え、「カーシェアリング」と言うクルマの使い方が注目されるようになってきている。

確かにクルマの持つ様々なメリットは、とても魅力的だ。
しかし、それとは違うモノを求めている生活者が増えてきていると言うのも、また、事実だとすれば、自動車産業そのものが今回の金融危機がきっかけとなり何らかの変化を促すのではないだろうか?