日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

内部留保が膨らみ続ける企業経営は、正常な経営だろうか?

2008-12-23 21:33:14 | ビジネス
中日新聞のWEBサイトのトップに、巨額余資ため込み大量人員削減 自動車など大手16社集計と言う記事があった。

そして今日、トヨタの元気の象徴とされる名古屋駅前の「ミッドランドスクエア」まで、非正規雇用者などの人たちがデモをした(動画ニュースあり)。

いつの頃からか、「企業は株主のモノ」と言われるようになってしまった。
確かに、株主は企業に資金を提供しているのだが、だからと言って「企業が株主のもの」ではない。
あくまでも、企業活動を支援しているに過ぎない。
ところが「もの言う株主」や自己利益だけを追い求めるファンドの登場が、必要以上に「配当」を求めるようになってしまった。
そこで、多くの企業がとった方法が「内部保留を高める」と言う方法だった。

結果、内部留保は増えつづけトヨタなどは、昨年だけ2兆円近くの内部留保を確保することが出来ている。
ところが、リーマンショックを引き金に、アメリカ発の世界同時金融不安が襲った。
それによる、急激で止まることを知らない円高で、トヨタをはじめとする輸出関連大手企業は、軒並み営業利益が赤字に転落しそうだ。
そこで、企業が取った方法が減産と、非正規雇用者(いわゆる「派遣切り」)を対象としたリストラだ。
実際、今日名古屋駅で行われた非正規雇用社員のデモでも「一部内部留保を、非正規雇用者のために使って欲しい」と言う声があがっていた。

いざ企業が倒産と言う「危機的状況」が起きた時、内部留保が多ければその危機を軽減できる。
とすれば、今がその時なのでは?
決して内部留保の総てを吐き出せ、と言っているのではない。
内部留保の一部を、非正規雇用者だけを対象と言うのではなく、何らかの方策を打ち出すと言うことなのだ。
「損して得取れ」と言うコトなのだ。

「企業は株主のためにある」のではなく、ステークホルダーのためにあるのだ。
そのステークホルダーとは、一体誰なのか?
改めて考える時なのではないだろうか。



日本の企業も参考にして欲しい、有名ブランド経営陣の行動力

2008-12-23 10:51:31 | ビジネス
日経新聞のWEBサイトに、海外ブランド首脳「日本詣で」 営業テコ入れ陣頭指揮と言う記事があった。

しばらく前から、海外有名ブランド商品の国内価格が値下がり始めている。
「円高」に対応しているようにも思えるのだが、むしろ「値下げないと売れない」と言う、厳しい経済状況を反映しているようだ。

元々、日本で販売されている海外有名ブランド品は、「やや高い値がつけられている」と言われていた。
単純に「為替ルート」の問題というのではなく、最初から「日本向け価格」という設定がされていたというコトだ。
それでも「海外有名ブランドだから」と言う理由で、売れつづけていたと言うコトもあり、ここ数年、都市部の一等地には海外有名ブランドの巨大ショップが次々とオープンし、にぎわっていたのは、ご承知のとおりだ。

若い女性の中には、有名ブランドの紙袋をサブバッグのように使っている姿も、ごく普通に見かける。
いかにも「私、有名ブランド品持ってます」的な感じなのだが、それもまたひとつの価値観だろう。
もちろん、このような有名ブランド店で買い物をしているのは、日本人だけではない。
中国の新興富裕層が、日本で日本人以上にこのようなブランド品を買い漁っていたと言う点も、見逃すわけにはいかないだろう。
それほど「有名ブランド品」は、確固たるポジションを持っているように思われていたのだ。
しかし、今回の世界的金融不安は日本経済だけではなく、そのような中国の新興富裕層も直撃をしたようだ。

海外有名ブランドの全世界売上の5割以上が、日本市場でのモノだと考えれば、今回の経営首脳陣の「日本詣で」も当然のことなのだ。
なぜなら日本における海外有名ブランド市場は「ファッション・ヴィクティム(ファッションの犠牲者)」ならぬ、「ブランド・ヴィクティム(有名ブランドの犠牲者)」で成り立っていたのだから。

ただ、この「日本詣で」で経営首脳陣たちの行動が、「さすが!」だと思わせるのだ。
それが、フェンディのマイケル・バーク最高経営責任者(CEO)の言葉
「地下鉄の乗客までチェックしたが、
日本人はもう高級ブランドというだけでは飛びつかない」
 
だ。

先日、JALの社長さんの「庶民生活ぶり」がアメリカの経済紙などで話題になったが、海外の有名ブランドの経営首脳陣も、売りの現場だけではなく、生活者の今の姿を見ようと必死なのだ。

無駄を削り、経費を削減するのは当然のコトだが、「生活者の今」を知るために経営陣自らが積極的に「現場に出て行く必要がある」のではないだろうか?
むしろ海外有名ブランドの強さとは、このような首脳陣の行動があるからなのではないだろうか?