日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ナスダック元会長の逮捕を考える

2008-12-13 14:33:04 | 徒然
日経新聞他新聞各紙のWEBサイトのトップ扱いとして、米ナスダック元会長、逮捕 「ネズミ講」類似の手口で被害500億ドル という記事が掲載されている。
このニュースを読んだ時、「ナスダックの会長ともあろう人物が・・・」と思ってしまったのは、私だけではないと思う。
それも、「ネズミ講」類似の手口というのが、何とも哀しい。
経済を熟知している人物なら、このような「金儲け話」をするとは思いたくないからだ。

「ネズミ講」というのは、よくご存知の方も多いだろう。
最近では類似の手口として「マルチ(商法)」がある(「ネットワークビジネス」も同じ内容だ)。
実はこの「マルチ(商法)」、英語にすると「マルチ・レベル・マーケティング」というのが、正式(この場合、正式という表現が正しいのか疑問だが)な言葉だ。
すなわち、これも「マーケティング」だというコトなのだ。
というわけで、私がこの仕事を始めた頃、盛んに「マルチ(商法)」のお誘いを頂いた。
もちろん、ご丁重にお断りをさせて頂いたのだが、ビックリするのは私に誘いをかけてきた人たちの職業だった。

一部上場企業の管理職という人や企業経営をしている人、中には会計士さんまでいたのだ。
さすがに会計士さんからお誘いを受けた時には、あまりのことで「ビックリ!!!」して、返事のしようもなかったのだが、私に「その気がないオーラ」が強烈に発散されていたらしく、以降のお誘いはなかった。

彼らは、社会的地位も良識も十分持ち合わせている人物なのだ。
実際、マルチ(商法)以外の話をする時は、とても魅力的だと感じる部分も数多くあった。
ところが、マルチ(商法)というビジネスの話になると、とたんに「儲かるから」の一点張りになってしまう。
「儲かる」というだけではなく「自分が働かなくても、友人知人(場合によっては親類縁者も)を誘えば、お金は自動的に入ってくる。楽な商売」というのだ。
この世の中、そんなに簡単で楽に儲かる商売などは無いはずなのだが、なぜかそのような言葉に誘われ、社会的地位も良識もある人が簡単に陥ってしまうのだ。

おそらくこのナスダックの元会長もそんな甘い(というか、非現実的な)言葉を巧みに使い、多くの投資家を騙したのだろう。

改めて申し上げるのだが、「MLM(=マルチ・レベル・マーケティング)」とは、実際のマーケティングとはまったくかけ離れた「騙しの商売」である。
そして、楽して儲けるという方法などは、この世に存在しない。
マーケティングが何故、ビジネスの基礎知識といわれるのか?といえば、「相手が必要としているモノ・コト(これを「ベネフィティング」という)を理解し、理解するための時間と労力を惜しまず、コミュニケーションを図る」コトを基本としているからだ。
それは「win-winの関係創り」であり、自分が楽して儲けるという「自己益」を目的とはしていないのだ。