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近鉄の「しまかぜ」が創りだすもの

2013-03-07 16:25:21 | ビジネス
新聞各社のWEBサイトに、近鉄の新しい電車「しまかぜ」の記事が掲載されている。
近鉄「観光特急 しまかぜ」

実は先月、一足先に「しまかぜ」の車両を見かけた。
「見かけた」と言っても、ほんの一瞬。
実家から名古屋へ帰る近鉄の車窓から、偶然停車していた「しまかぜ」を見かけたのだった。

その「しまかぜ」、名古屋発大人1万円という試乗会の切符がアッという間に完売し、名古屋や関西では話題になっていた。
鉄道マニアと呼ばれる人たちだけでは無く、もっと違う人達も試乗会の切符を買い求めたのだろうか?と考えてみると、「しまかぜ」という列車が提案するモノ・コトがとても気になった。

車両名に「観光特急」と付くコトを考えれば、単なる移動手段としての電車ではない、と言うコトがわかる。
出発地から目的地となる伊勢志摩までを「移動」するのではなく、「車窓観光」をしてもらいたい、と言う意味があるのだろう。
それだけでは無く、「しまかぜに乗る」と言うコトそのものを、旅行の一部にして貰いたい、と言う狙いがあるのではないだろうか?

新幹線を始め、列車の移動は「早さ」との闘いのようなトコロがあった。
東京~名古屋を結ぶ予定の「リニア中央新幹線」などは、その代表格だろう。
この「リニア中央新幹線」が動き出すと、東京~名古屋間は1時間かからず移動するコトができる。
忙しいビジネスマンにとっては、最適な乗り物となるだろう。

そう考えると「しまかぜ」が提案する「旅」というのは、目的地となる伊勢志摩の観光スポットを駆け足で巡るようなモノでは無く、時間も気持ちもそれなりにゆとりを持ちたい、と言う「時間を贅沢に使う」コトができる人を対象にした、今までの様な「観光ツアー」的旅行では無い様に思う。
そして、日本もそのような「旅する時間を贅沢に楽しむ」という人達が登場し始めた、と言うコトなのかも知れない。

近鉄の営業地域が名古屋~伊勢志摩と関西一円と言う、限られた地域ではあるが、この「しまなみ」が提案する「旅する時間を贅沢に楽しむ」という考えは、鉄道会社全体に少しずつ拡がっていくのではないだろうか?