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その「経営手腕」に似合うだけの報酬だったのかな?ソニー・ストリンガー氏の退任

2013-03-09 18:39:14 | ビジネス
朝日新聞が、ソニーのストリンガー氏の役員の退任を報じている。
「ソニーストリンガー元社長 ソニー役員退任へ」

ソニーと言えば、ここ数年主力であるはずのテレビ事業の不振により、大幅な赤字が続いている。
と同時にかつてのような「先進的・革新的」というイメージが無くなり、「ワクワクする」ような生活の中のエレクトロニクス商品を、生み出せなくなっているような印象がある。

ストリンガー氏がソニー初の外国人社長になった時、周囲の期待は「映像文化の中で活躍してきた人物が、どう映像機器を作る企業を建て直すのか?」というコトだった様に思う。
その背景にあったのは「ベータマックスの敗北」という、苦い経験があったからかも知れない。

ところが、ストリンガー氏が社長に就任して以来話題になったことと言えば・・・有機ELの開発・商品化と3Dテレビの発売くらいしか、思い浮かばない。
もちろん、他にもあったとは思うのだが・・・思い出せない。
そして、それらの商品が映像文化と結び付いて市場を活性化させるコトが出来たか?と言うと、「残念な結果」としか言いようが無い。
実際、家電量販店に行くと、昨年の今頃は大々的スペースを占めていた「3Dテレビ」に代わり、今年は「スマートテレビ」になっている。
その「スマートテレビ」も、お客さんの反応は、まだまだ「様子見」状態のようだ。

そんな状況の中でもストリンガー氏の社長時代の報酬は、年間8億だと報じられていた。
同じ外国人社長である日産のカルロス・ゴーン氏も、相当額の報酬を得ていたと記憶しているのだが、ゴーン氏の場合、不振に陥っていた日産を相当大胆に刷新し、回復させるコトができた、と言う印象を持っている。
社長という責において、その経営手腕を発揮し、それに似合うだけの報酬を得ている、と言う印象があるのだ。
それに対してストリンガー氏の報酬は、ご自身の働きに似合うだけのものだったのだろうか?
もちろん、自動車メーカーとテレビなどを中心としたエレクトロニクス企業とは、同じでは無いコトは理解している。

もしストリンガー氏に支払われていた報酬額の何分かの1でも、商品開発のために投資されていれば、ソニーはもっと違った状況になっていたかも知れない。
往々にして、社長やCEOと呼ばれる役員の報酬額は高額になる。
その理由は、企業を存続させるだけではなく発展させる責を負っているからだ。
安易なリストラ策で利益を生むのではなく、社会を豊かにさせるような企業責任を一身に背負うような覚悟を持って仕事をしなくてはならないのが、社長でありCEOなのでは?
決して高い報酬を得るのが、社長やCEOでは無いと思う。