日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

地方発信のブランド

2013-03-20 19:45:13 | ビジネス
先日、新聞の経済欄を見ていたら、チョッとビックリする記事があった。
「ビックリ」した理由は、高評価というだけではなく、取り上げられた企業のあり方が、地方企業にとっての「ビジネスモデルになるかも知れない」という内容だったからだ。

取り上げられていた企業というのは、倉吉に本社を置くカバンメーカー「BARCOS」
私がこのメーカーを初めて知ったのは、4年ほど前だったと思う。
実家に帰省した時に購入した、ローカル雑誌「さんいんキラリ」に紹介されていたからだった。
ただその時は「こんな企業があるんだ・・・」ということと「こんな素敵なカバンを作る企業が、あるのに全国的に知られていないのは残念だな~」というコトだった。

そんな「BARCOS」が、日本人の皮革職人さんの高い技術で作った「BARCOS J Line」ブランドが、東京・新宿伊勢丹でプラダと肩を並べ販売されているだけでは無く、購入される人も多い、と言うのが紹介記事だった。

これまで日本製のカバンというと、銀座にある「タニザワ」のような老舗か量販される鞄メーカーくらいしか思い浮かばなかった。
そして老舗タニザワよりも、「BARCOS J Line」のほうが価格が高く、それこそプラダなどと変わらない。
タニザワが得意とするのは男性が持ち歩くカバンが中心で、女性向けのハンドバックなどでは無いので、単純に価格を比べる訳にはいかないのだが。
そんなカバンが、ブランド志向が強いとされる日本人にうけるコトの方に、ビックリしたのだ。
日本の女性も「ブランド名」ではなく、その品質やデザイン、自分のライフスタイルなどを考え「自分にあったものを買う」という意識になってきたのか、と嬉しい部分もあった。

ただ言っておくと、倉吉という地域は昔から皮革製品の生産が盛んな地域では無かった(と、思う)。
その意味では、「地場産業の復活」という訳ではない。
「地場産業の復活」ではないが、地方に産業を興すと言う点では十分参考になると思う。
ポイントとなったのは「東京ではなく、最初から海外に目を向けた」という点だろう。
そこに「地場産業」が加われば、地方の産業として大きく発展するコトが期待できるのでは?
と同時に、使う人達=お客様とコミュニケーションも取りやすいのが強みだろう。 
伊勢丹が「BARCOS」ブランド立ち上げを推したのも、この対応力の良さからだった。

「私が使いやすい、私に心地良い」という提案とコミュニケーション力が、地方発のブランドが成長できる鍵かも知れない。