日々是マーケティング

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日本の交渉力が試されるTPPと言う場

2013-03-17 16:05:03 | アラカルト
先週、安倍さんが正式に「TPPへの交渉参加」を発表した。
この報道を受け、農業だけでは無く医療など、参加するコトでデメリットがあるのでは?と、予想される産業分野の関係者が一斉に反発の声明を発表している。

農業については、先日エントリをしているのであえて書くコトはしないが、医療分野などはなかなかそのデメリットが伝わってきにくいと言う印象がある反面、違う視点で見る必要があるのかな?と言う気もしている。
と言うのも、TPP参加交渉に反対をしている人達の意見を読むと、一つのことに繋がっている様に感じるからだ。
その一つとは「国際社会における日本の交渉力の無さ」と言う点だ。

反対をしている人の意見の中で目立つのは「アメリカの言うなりになってしまう」という言葉が目立つ。
これまでよく言われてきた「対米腰砕け交渉」と、言い換えられるかも知れない。
その様な過去の経験から、「米国の言うなり」という発想が起きるのだろう。
言い換えれば、これまでの「日本の交渉力の無さ」が、この様な反対意見として出てきているのではないだろうか?

一方、新聞などで報道されている内容を見ると、米国だけの主張ではまとまるような無い様ではない、と言うコトもわかる。
時には米国であっても、自分の主張を引っ込めて他の参加国の意見を聞かなくてはこのTPPそのものが、ダメになってしまうと言うコトになる。

そう考えると、例えば医療の分野で問題になっている、「混合診療」などの「医療保険」の問題は、現在の米国の医療制度そのものが、国民にとって良い制度であるのか?と言う視点から、積極的に日本の「皆保険制度」の良さを交渉参加国に説明をし、制度導入を勧めると言う交渉方法もあるのでは?
それだけでは無く日本医師会などが積極的に米国の医師団体へ呼びかけたり、ネットという情報ツールを使い米国国民へ問いかける、と言う方法もあると思う。

もう一つ気になるコトがあった。
それは「TPP参加交渉」が報じられたとき、ある製造業の方が「安い海外の部品が輸入しやすくなる」と新聞のインタビューに答えていたコトだ。
この記事を読んで「この方は、日本の下請け業者の持っている技術の高さを理解していないし、日本の製造業を支えている人達のコトを何とも思っていない人なんだな~」と、感じたのだ。
言い換えれば「自分の企業が儲かれば良い」とも受け止められる発言のように思えたのだ。
感じ方は人それぞれなので、一概には言えないのだが私と同様の感じ方をした方もいらっしゃるのでは?
中には「安い部品で組み立てられた製品で、安全性は確保できるの?一定の品質管理は出来ていても、不安がある」と感じた方もいらっしゃるかも知れない。

企業にとっても「安い輸入部品が手に入る」という「モノづくり」の時代では無い、と言う認識を持つ必要があるのでは?
そして生活者の気持ちの変化を、もっと敏感に感じる必要があるのではないだろうか?

いずれにしても交渉ごとというのは、相手の言い分を受けるだけの場ではない。
自分たちの意見や考えを述べ、相手を納得させる場でもあるはずだ。
「日本の交渉力」が試されるのが、TPPと言う場なのではないだろうか?