毎年、年明けにその年の「お正月広告」について、エントリしているのは拙ブログの古い読者ならご存じの通り。
そして、今年その「お正月広告」を書く気になれなかった。
理由は「代わり映えしないタレント起用」と言うこと。
昨年暮れから、新聞紙面だけでは無く年末年始向けテレビ番組雑誌などの表紙に登場していたのは、アイドルグループ(と言って良いのだろうか?)の「嵐」だった。
テレビ雑誌の表紙は、NHK「紅白歌合戦」の白組司会ということを考えれば、違和感は余りないのだが、年末~年始にかけ新聞に掲載された企業広告でも「嵐」が随分と起用されていた。
「嵐」が起用されることが悪い訳では無い。
「嵐」に問題がある訳でもないし、メンバーそれぞれが様々なテレビ番組などで活躍をし、グループとしてだけでは無く、個人としても人気が高いと言うことも知っている。
ただ、「お正月広告」という年に1回の「企業メッセージ」を伝える広告に、様々な企業が「嵐」を起用していることに、違和感を感じたのだ。
いくら人気があると言っても、同じタレントさんを数多くの企業が起用すると、起用した企業の印象よりも、起用されたタレントさんの印象が強くなり、企業広告として「どんな広告で、どんなメッセージがあったのか」という印象がほとんど残らない。
これは「嵐」に問題があるのではなく、「嵐」というアイドルグループを「人気があるから」という理由で、起用した広告制作側の問題なのだと思う。
もう一つ言えることは、「お正月広告」が打てる企業が、随分減ったと言うことだ。
いわゆる家電メーカーなどでも積極的に「お正月広告」を打っていたのは、「嵐」を起用していた日立くらいで、パナソニックや1,000人を超すリストラを発表したソニーなどの「お正月広告」は無かった様に思う。もしかしたらあったのかも知れないが、印象には残っていない。
言い換えれば、「お正月広告」を見ると、その企業の「元気度」がある程度判ると言えるかも知れない。
その中で唯一と言って良いかも知れない、印象的な広告があった。
万年筆の「パイロット」の広告だ。
サイトで確認をすると、2013年制作となっているので「お正月広告」として制作されたものではないようだが、「さあ、自由だ」という言葉に、「これから始まる、ワクワク・ドキドキ感」を感じる。
パイロット:企業広告2013年「さあ、自由だ」
昨年からの「美文字」ブームということもあり、万年筆を使って「ことばを書く」ことが増えそうな今年。何も「ことば」でなくても良い。「自分らしい気持ちを表すツールとして万年筆はある」と言うことを、上手に表現している様に思う。
昨年から始まった、政治主導の社会的締め付け感がある中だからこそ、「さあ、自由だ」と言うコピーはとても力強く感じる。
人気タレントを起用しなくても、印象に残る広告はできる・・・そんなお手本の様な気がする。
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