北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空防衛作戦部隊論(第三六回):航空防衛力、拠点航空基地と国土防衛戦における法的後方支援基盤

2016-05-12 21:44:47 | 防衛・安全保障
■国土戦と法的後方支援
拠点航空基地と国土防衛戦における法的後方支援基盤という視点について。

拠点航空基地の場合は、後方の拠点となると共に平時には広報の拠点となります、広報は自衛隊においては平時の実戦として重要視されているもので、我が国中央官庁において防衛省ほど広報業務を重視している期間はありません。航空祭の支援を行うだけではなく有事の際における自衛隊への理解と協力の支援を受けるところになります。基地の拡大と共に土地接収を行う必要がどうしても生じます、武力攻撃事態法と国民保護法は防衛施設周辺における陣地構築や国民保護のための誘導措置等を盛り込んでいますが。

しかしいかに法整備がおこなわれた場合においても我が国は第二次世界大戦中の時代とは異なり、接収には理解と協力が必要となります。この為、航空祭は勿論、平素からの有事の際への協力関係を構築するためには常設の基地という位置づけは大きく、基地広報と住民の関係は有事の際に臨時に増設する施設では成り立ちません。また、有事の際の接収地域と民有地利用には補償交渉が必要となり、この部分については法務幹部と会計科の協力が必要不可欠となります。

勿論、法務幹部と会計科は平時の人員規模では対応できませんので第一線となる拠点航空基地に対しては全国の基地と航空自衛隊と協同する陸海自衛隊から人員支援が行われる事となるでしょうし、制度として実務経験及び予備勤務の制限などはりますが、可能ならば予備自衛官に法務幹部と会計科隊員を十分確保し、有事の際だからこそ増大する事務手続きを円滑に行う制度が必要ですが、受け入れる部隊が常設されているならば、補強する形で会計科隊員と法務幹部を増勢可能です。

法務幹部のほか、有事の際には国土防衛という視点から国土に位置する、つまり同胞の居住する市街地等が林立する国土での作戦には、防衛力という軍事科学のみで考える事は出来ず連絡幹部を基地周辺自治体へ送る必要が出てきまして、この観点から幹部自衛官に余裕を十分確保する必要があります、ただこれらの有事における関係は平時からの国民保護法制への取り組みの上での協力関係基盤を構築する必要がありますので、その受け手となる基地が必要、視点から拠点航空基地の位置づけは不変そのものでしょう。

一方、航空基地は有事の際には防空拠点となりその周辺部まで必要に応じ応急航空掩体を構築し対処する必要性を提示ましたが、周辺地域への影響はこれだけに留まらず、航空基地周辺に対空疎開の形で分散集積する事前集積品を必要に応じ基地へ搬入する、また、基地周辺の物資集積所の集積補充物資搬入などで、港湾や鉄道貨物駅付近と主要高速道路付近では大規模な交通規制が必要となり、場合によっては図上演習だけでも都道府県庁と周辺自治体に武力攻撃事態法指定協力企業と都道府県警に海上保安庁と国土交通省の統合の上での対処訓練を行う必要があります。

その上で、この対象とする基地をある程度限定しなければ、地方空港全てを有事の際に暫定的な基地として運用する場合でも、航空団の展開する拠点航空基地と同程度の綿密な訓練を行う事は容易ではありません。連絡幹部ですが有事の際には基地周辺全ての自治体との関係が必要となる一方、平時においては同時にすべての自治体と連絡幹部を置かず、日にちを分けて実施する事が出来ます。実は連絡幹部というものはかなりの人数が必要で、自衛隊が創設以来最大の動員を行った東日本大震災では幹部の不足が深刻となりましたが、平時の情報交換有無により手続きを簡略化出来る要素があり、その平時の拠点の意味大きいのです。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする