■地方隊沿岸防備部隊
駆潜艇から沿岸警備艦へ、この背景には駆潜艇みずとり型の諸性能を見ますと限界が見て取れます。
みずとり型、現在のミサイル艇よりも大型ですが、満載排水量490t、全長60.5m、乗員80名、1900hpディーゼルエンジンを搭載し最高速力は20ノットを発揮し、ヘッジホッグ対潜迫撃砲に68式3連装短魚雷発射管と54式爆雷投下軌条からの爆雷で沿岸部の潜水艦を追いつめてゆくものでした。対水上戦闘に備えボフォース40mm機関砲を搭載、12.7mm重機関銃などを追加装備する事も出来たようです。
地方隊の任務は沿岸防備と地誌研究に基づく作戦研究という任務があり、小型艦艇には小型艦艇として能力を発揮できるものがありました、もちろん、現代の潜水艦に対抗できるかは後述する通り、各国海軍における駆潜艇という区分が事実上消滅している事が全てを物語りますが、駆潜艇隊、外洋作戦へは参加できない事から確実に沿岸部に張り付けられる部隊でもあったわけです。
ヘッジホッグ対潜迫撃砲は24連対潜擲弾発射機で射程は250mと短いものでしたが沿岸部では高い対潜掃討能力を発揮します。しかし、駆潜艇という区分が最終的に海上自衛隊から姿を消す事となったのは潜水艦捜索に用いるソナーの大型化で、駆潜艇の船体に搭載できる規模のソナーでは潜水艦を充分に探知する事が難しくなった為でした。
実際、駆潜艇みずとり型に搭載されたソナーはSQS-11Aで、全周を索敵可能な高性能小型ソナーで信頼性も高かったのですが、索敵範囲が条件次第ではありますが1500m程度しかなく、これは例えば舞鶴基地の北吸桟橋から対岸の舞鶴教育隊付近と同程度の距離、横須賀基地の地方総監部から米海軍の空母桟橋程度の距離しか探知できない事を意味します。
護衛艦いしかり、のSQS-36D-Jは探知距離が10kmですので海峡中央部に位置すれば一隻で海峡を突破しようとする潜水艦を監視できます、ボフォース対潜ロケット発射機は230kgの対潜ロケット弾を2.2km先まで投射できるため、駆潜艇みずとり型と比較し文字通り桁違いの能力を発揮できるわけです。元々は沿岸警備艦PCEとして護衛艦の枠外にて大量建造する構想がありました。
しかし、実際にに検証してみますと、一定以下の船体規模では波浪に翻弄され必要な時期に対潜哨戒を実施する事が難しくなるとの実情から設計を大型化させることとなります。具体的には日本海の冬季や太平洋鹿島沖の波浪などは世界でも最も条件が悪い海象で知られ、例えば日本海を警備管区に含める韓国海軍などは冬季かなりの期間、ウルサン級フリゲイトなど重武装で知られる主力の水上戦闘艦が波浪に耐えられないとの事で洋上哨戒任務に対応できないほどです。
この為必要な船体規模を確保しようとした場合、どうしても基準排水量で1000tを大きく超えるものとなる為、護衛艦として建造された、護衛艦いしかり建造の背景にはこうした事情がありました。ゆうばり型護衛艦として、海上自衛隊では護衛艦いしかり、が小型過ぎたとして基準排水量を180t、つまり14%大型化させた基準排水量1470tで基本的に船体と装備が同型となっている護衛艦へ建造を移行していますが、2010年まで大湊企図を中心に沿岸防備任務に当たっています。
聞けば、確かに使いにくい、小型過ぎる、波浪による乗員負担が大きい、対空戦闘等では能力が限定、という声も聴きますし、載せてやりたいくらい酷い、という声も聞かないではありません。ただ、純粋に今後の海上自衛隊の護衛艦隊任務を考えた場合、非常に大型護衛艦を軸とした編成では任務遂行に限度がありますので、使いにくく限界はある、それでも護衛艦だ、という水上戦闘艦の必要性はやはり強い、と考えます。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
駆潜艇から沿岸警備艦へ、この背景には駆潜艇みずとり型の諸性能を見ますと限界が見て取れます。
みずとり型、現在のミサイル艇よりも大型ですが、満載排水量490t、全長60.5m、乗員80名、1900hpディーゼルエンジンを搭載し最高速力は20ノットを発揮し、ヘッジホッグ対潜迫撃砲に68式3連装短魚雷発射管と54式爆雷投下軌条からの爆雷で沿岸部の潜水艦を追いつめてゆくものでした。対水上戦闘に備えボフォース40mm機関砲を搭載、12.7mm重機関銃などを追加装備する事も出来たようです。
地方隊の任務は沿岸防備と地誌研究に基づく作戦研究という任務があり、小型艦艇には小型艦艇として能力を発揮できるものがありました、もちろん、現代の潜水艦に対抗できるかは後述する通り、各国海軍における駆潜艇という区分が事実上消滅している事が全てを物語りますが、駆潜艇隊、外洋作戦へは参加できない事から確実に沿岸部に張り付けられる部隊でもあったわけです。
ヘッジホッグ対潜迫撃砲は24連対潜擲弾発射機で射程は250mと短いものでしたが沿岸部では高い対潜掃討能力を発揮します。しかし、駆潜艇という区分が最終的に海上自衛隊から姿を消す事となったのは潜水艦捜索に用いるソナーの大型化で、駆潜艇の船体に搭載できる規模のソナーでは潜水艦を充分に探知する事が難しくなった為でした。
実際、駆潜艇みずとり型に搭載されたソナーはSQS-11Aで、全周を索敵可能な高性能小型ソナーで信頼性も高かったのですが、索敵範囲が条件次第ではありますが1500m程度しかなく、これは例えば舞鶴基地の北吸桟橋から対岸の舞鶴教育隊付近と同程度の距離、横須賀基地の地方総監部から米海軍の空母桟橋程度の距離しか探知できない事を意味します。
護衛艦いしかり、のSQS-36D-Jは探知距離が10kmですので海峡中央部に位置すれば一隻で海峡を突破しようとする潜水艦を監視できます、ボフォース対潜ロケット発射機は230kgの対潜ロケット弾を2.2km先まで投射できるため、駆潜艇みずとり型と比較し文字通り桁違いの能力を発揮できるわけです。元々は沿岸警備艦PCEとして護衛艦の枠外にて大量建造する構想がありました。
しかし、実際にに検証してみますと、一定以下の船体規模では波浪に翻弄され必要な時期に対潜哨戒を実施する事が難しくなるとの実情から設計を大型化させることとなります。具体的には日本海の冬季や太平洋鹿島沖の波浪などは世界でも最も条件が悪い海象で知られ、例えば日本海を警備管区に含める韓国海軍などは冬季かなりの期間、ウルサン級フリゲイトなど重武装で知られる主力の水上戦闘艦が波浪に耐えられないとの事で洋上哨戒任務に対応できないほどです。
この為必要な船体規模を確保しようとした場合、どうしても基準排水量で1000tを大きく超えるものとなる為、護衛艦として建造された、護衛艦いしかり建造の背景にはこうした事情がありました。ゆうばり型護衛艦として、海上自衛隊では護衛艦いしかり、が小型過ぎたとして基準排水量を180t、つまり14%大型化させた基準排水量1470tで基本的に船体と装備が同型となっている護衛艦へ建造を移行していますが、2010年まで大湊企図を中心に沿岸防備任務に当たっています。
聞けば、確かに使いにくい、小型過ぎる、波浪による乗員負担が大きい、対空戦闘等では能力が限定、という声も聴きますし、載せてやりたいくらい酷い、という声も聞かないではありません。ただ、純粋に今後の海上自衛隊の護衛艦隊任務を考えた場合、非常に大型護衛艦を軸とした編成では任務遂行に限度がありますので、使いにくく限界はある、それでも護衛艦だ、という水上戦闘艦の必要性はやはり強い、と考えます。
北大路機関:はるな くらま
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