■冷戦期海上自衛隊の構想
LSMPSという構想から前回、将来小型護衛艦の必要性を提示しました、この方式はデータリンクで繋がる、兵器システムのセンサーとしての小型艦艇との位置づけを強調しすぎますと、先進的過ぎ、実現性が中途半端となったアメリカのLCS沿海域戦闘艦と似た響きを持つものですが、どちらかと云えば海上自衛隊の過去の装備計画を意識したものです。
将来小型護衛艦の量的優位重視視点、としましたが、小型護衛艦、これは自衛艦隊に配備する艦隊護衛隊ではなく、また、旧地方隊に配属され現在は二桁護衛隊と呼称される沿岸配備用護衛艦よりもさらに小型のものを意識したものです。具体的には、地方隊警備隊のミサイル艇に匹敵する水準の水上戦闘艦として、兎に角数を有し、沿岸警備から沿岸部での船団護衛に最小限度の対潜哨戒を行う。
航空攻撃を受ければ自演戦闘を展開しつつ沿岸部に展開する陸上自衛隊高射特科群の防空網下へ退避し、対水上戦闘では水上打撃を担いつつ陸上自衛隊の地対艦ミサイル連隊と協同し、沿岸部での対潜哨戒では哨戒ヘリコプターに協力しつつ基本的に単独での水上戦闘艦としての戦闘システムを構成するものではなく、陸海空自衛隊の沿岸防備ネットワークの一端を構成する装備、という位置づけです。
護衛艦いしかり、具体的に想定するのは海上自衛隊が2000年代まで運用した小型護衛艦のような水上戦闘艦です、いしかり、は海上自衛隊護衛艦として初めてハープーン艦対艦ミサイルを運用する沿岸部での水上打撃力をかなり重視した艦艇となっており、基準排水量は1290t、満載排水量も1580tと非常に小型で全長は85m、掃海艇より数割程度全長が長いというものでした。
いしかり、はディーゼルエンジンとガスタービンエンジンを併用するCODOG方式推進を採用、最高速力は25ノットで、76mm単装砲、ハープーン艦対艦ミサイル、三連装短魚雷発射筒、ボフォース対潜ロケット発射機を搭載する小型護衛艦でした。DE,小型護衛艦として能力は限られており、レーダーはOPS-28-1対水上レーダーとOPS-19航海レーダーを搭載しています。
対空レーダーを搭載していない為、76mm単装砲用射撃管制装置81式射撃指揮装置2型FCS-2を構成するFCS-2-22Cを高空目標索敵用に、OPS-28-1対水上レーダーを低空目標追尾用に用いるという変則的な方法を採用しています。ソナーはSQS-36D-Jを採用、小型のもので探知距離は10km程度というものではありますが、探知目標に対しボフォース対潜ロケットを投射し迅速な対処が可能です。
元々は沿岸警備艦PCE,として計画された、護衛艦いしかり、にはこうした背景がありました。そもそもこの発想の背景には海上自衛隊は沿岸哨戒用に駆潜艇という小型水上戦闘艦艇を多数運用していまして、この後継となる水上戦闘艦を、という視点から建造された為です。駆潜艇として海上自衛隊が最後に建造したのは駆潜艇みずとり型の8隻でした。
海上自衛隊は創設以来駆潜艇かり型、駆潜艇かもめ型、駆潜艇はやぶさ、駆潜艇うみたか型、と建造してきました。みずとり型の最終艇ひよどり、は迎賓船として長く現役でしたのでご記憶の方も多い事でしょう。駆潜艇は、基準排水量440t程度と掃海艇並、乗員も80名で掃海艇と同程度、ですが列記とした水上戦闘艦であり、地方隊の貴重な装備でした。
駆潜艇は小型とはいえ、艇隊を構成するため、隊付の幹部には初級幹部が充てられるものの任務は規模こそ違え護衛隊と同じ区分を求められるため、初級幹部が艦隊勤務を修練する最適の艦艇、ともいわれていましたが、小型過ぎて対潜哨戒任務へ対応できなくなり、沿岸警備艦PCE、という新区分が構築されたわけでした。しかし、沿岸警備艦PCEのような区分の艦艇は、数的限界が突きつけられた今日でこそ必要となっているのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
LSMPSという構想から前回、将来小型護衛艦の必要性を提示しました、この方式はデータリンクで繋がる、兵器システムのセンサーとしての小型艦艇との位置づけを強調しすぎますと、先進的過ぎ、実現性が中途半端となったアメリカのLCS沿海域戦闘艦と似た響きを持つものですが、どちらかと云えば海上自衛隊の過去の装備計画を意識したものです。
将来小型護衛艦の量的優位重視視点、としましたが、小型護衛艦、これは自衛艦隊に配備する艦隊護衛隊ではなく、また、旧地方隊に配属され現在は二桁護衛隊と呼称される沿岸配備用護衛艦よりもさらに小型のものを意識したものです。具体的には、地方隊警備隊のミサイル艇に匹敵する水準の水上戦闘艦として、兎に角数を有し、沿岸警備から沿岸部での船団護衛に最小限度の対潜哨戒を行う。
航空攻撃を受ければ自演戦闘を展開しつつ沿岸部に展開する陸上自衛隊高射特科群の防空網下へ退避し、対水上戦闘では水上打撃を担いつつ陸上自衛隊の地対艦ミサイル連隊と協同し、沿岸部での対潜哨戒では哨戒ヘリコプターに協力しつつ基本的に単独での水上戦闘艦としての戦闘システムを構成するものではなく、陸海空自衛隊の沿岸防備ネットワークの一端を構成する装備、という位置づけです。
護衛艦いしかり、具体的に想定するのは海上自衛隊が2000年代まで運用した小型護衛艦のような水上戦闘艦です、いしかり、は海上自衛隊護衛艦として初めてハープーン艦対艦ミサイルを運用する沿岸部での水上打撃力をかなり重視した艦艇となっており、基準排水量は1290t、満載排水量も1580tと非常に小型で全長は85m、掃海艇より数割程度全長が長いというものでした。
いしかり、はディーゼルエンジンとガスタービンエンジンを併用するCODOG方式推進を採用、最高速力は25ノットで、76mm単装砲、ハープーン艦対艦ミサイル、三連装短魚雷発射筒、ボフォース対潜ロケット発射機を搭載する小型護衛艦でした。DE,小型護衛艦として能力は限られており、レーダーはOPS-28-1対水上レーダーとOPS-19航海レーダーを搭載しています。
対空レーダーを搭載していない為、76mm単装砲用射撃管制装置81式射撃指揮装置2型FCS-2を構成するFCS-2-22Cを高空目標索敵用に、OPS-28-1対水上レーダーを低空目標追尾用に用いるという変則的な方法を採用しています。ソナーはSQS-36D-Jを採用、小型のもので探知距離は10km程度というものではありますが、探知目標に対しボフォース対潜ロケットを投射し迅速な対処が可能です。
元々は沿岸警備艦PCE,として計画された、護衛艦いしかり、にはこうした背景がありました。そもそもこの発想の背景には海上自衛隊は沿岸哨戒用に駆潜艇という小型水上戦闘艦艇を多数運用していまして、この後継となる水上戦闘艦を、という視点から建造された為です。駆潜艇として海上自衛隊が最後に建造したのは駆潜艇みずとり型の8隻でした。
海上自衛隊は創設以来駆潜艇かり型、駆潜艇かもめ型、駆潜艇はやぶさ、駆潜艇うみたか型、と建造してきました。みずとり型の最終艇ひよどり、は迎賓船として長く現役でしたのでご記憶の方も多い事でしょう。駆潜艇は、基準排水量440t程度と掃海艇並、乗員も80名で掃海艇と同程度、ですが列記とした水上戦闘艦であり、地方隊の貴重な装備でした。
駆潜艇は小型とはいえ、艇隊を構成するため、隊付の幹部には初級幹部が充てられるものの任務は規模こそ違え護衛隊と同じ区分を求められるため、初級幹部が艦隊勤務を修練する最適の艦艇、ともいわれていましたが、小型過ぎて対潜哨戒任務へ対応できなくなり、沿岸警備艦PCE、という新区分が構築されたわけでした。しかし、沿岸警備艦PCEのような区分の艦艇は、数的限界が突きつけられた今日でこそ必要となっているのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま
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