北大路機関

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アメリカ合衆国海兵隊キャンプ富士日米フレンドシップデイ二〇一六(2016-05-07) X-20撮影速報

2016-05-08 23:18:36 | 在日米軍
■キャンプ富士2016
 ゴールデンウィークの5月7日、静岡県御殿場市のアメリカ海兵隊キャンプ富士日米フレンドシップデイ二〇一六が開催されました、LAV-25,AAV-7,M-1161,M-777様々な装備が展示されましてその様子を紹介しましょう。

 LAV-25はアメリカ海兵隊が1982年に軽装甲車計画として導入した装甲車両で、スイスのモワク社が開発したピラーニャ装輪装甲車をGMカナダ社がライセンス生産中でカナダ軍へ納入されていた装備を原型として25mm機関砲を搭載する軽装甲車として制式化されました。海兵隊はLAV-25を758両調達し、内422両が25mm機関砲搭載型となっています。車幅は2.5mと日本の道路運送車両法に適合するほど小型であり、C-17輸送機には6両も搭載可能です。

 M-242機関砲はLAV-25の主武装で、全溶接構造を採用するLAV-25の重量は12.79tと非常に軽量に抑えられています。これはCH-53重輸送ヘリコプターでの吊下げ空輸を念頭とした設計であり、GMデトロイト社製ディーゼルエンジンは装輪装甲車として時速100km/hという高い路上速力を誇ると共に668kmの航続距離を誇ります。加えて9.7km/hでの水上浮航能力を有し、沿岸部での自走航行も可能、と。

 海兵隊におけるLAV-25の任務は海兵軽装甲偵察中隊での機械化戦闘任務で、車体後部には背合わせ式に左右各3名の6名が乗車可能となっています。車長、砲手、操縦手、以上乗員は3名で車長は分隊長を兼ね下車戦闘を指揮する。一方、1990年代後半よりLAV-25の延命計画が開始され、25mm増加装甲を設置し14.5mm重機関銃弾への耐弾性を付与するなど生存性を向上させ、暗視装置を熱線暗視装置へ換装し夜間戦闘能力を近代化しました。

 LAV-M自走迫撃砲、海兵大隊迫撃砲小隊用の支援火器として運用されるもので、M-252迫撃砲を車体内に搭載している、81mm迫撃砲で海兵隊では可搬性が高い60mm迫撃砲とともに直掩火力に充てている。迫撃砲の搭載に伴い25mm機関砲搭は取り外され、戦闘室上天蓋を開放し射撃する。車体内には94発の81mm迫撃砲弾を搭載し、迫撃砲操作要員は3名が乗車しています。

 LAV-AT自走対戦車ミサイル発射機、エマーソンTOW連装発射装置を搭載するもので、射程3750mの有線誘導方式対戦車ミサイルです。連装発射機は射撃時に情報に延伸し遮蔽物から掩蔽しつつ射撃が可能で、乗員は発射要員含め4名、戦闘室にはTOW用弾架が設置されており、14発を収容する。射撃時に2発を射撃した後、発射機を上方に向け収縮させ、乗員は車内より天蓋から再装填、陣地変換しつつ戦闘継続が可能、というもの。

 AAV-7,海兵隊の両用強襲車両で、水陸両用装甲車としては最も成功した装甲車両、陸上自衛隊も採用しました。元々アメリカ海兵隊は1941年に来たるべき対日戦に備え太平洋島嶼部での強襲車両を必要としていました。日本軍は当時上陸用舟艇に当たる大発や装甲艇等先進的な両用戦装備を開発しており、海兵隊は珊瑚礁を踏破し海岸線へ海兵を輸送可能な車両として、湿地帯交通用の水陸両用車を原型としてLVT-1を開発しています、装軌式で履帯駆動法しい推進を採用、洋上を12km/hで航行可能、生産数は8351両に上りました。

 LVTP-7として現在のAAV-7は1972年に制式化されました。これはLVT-1の後継として朝鮮戦争期より開発が開始されたLVTP-5が35名という大人数を輸送可能であったが車体が大型化しすぎた事を受けて、戦闘車両としての生存性を確保出来る規模に抑え、且つ水上航行能力を考慮したもので、戦闘重量25.7t、21名の海兵を収容し水上を13km/h、陸上を72km/hで機動するものとして開発されています。生産数は輸出用を含め1414両に上るとのこと。

 M-777榴弾砲、イギリスのヴィッカースが1998年に超軽量155mm榴弾砲として開発したもので、砲システム重量は3.2tと従来の39口径155mm榴弾砲と比較し半分程度に抑える事に成功しました。陸上自衛隊が運用するFH-70榴弾砲が9.6t、従来米海兵隊が装備していたM-198榴弾砲が7.2tです、M-777はこの軽量化により従来105mm榴弾砲を空輸していた多用途ヘリコプターでも155mm榴弾砲が空輸可能となり、最大射程24km、射程延伸弾を使用すれば30kmの最大射程を誇る。

 新榴弾砲は、まず陸軍が採用し海兵隊が続きました。M-198の後継として大幅に軽量化され、FH-70榴弾砲やFH-77榴弾砲のような自走能力は付与されていませんが、空輸により迅速に展開する事が可能となりましたが、これは従来火砲と比較しアルミ合金とチタン合金を大胆に採用し、その上で砲架を四脚式、つまり従来のW形状からX形状というかつての高射砲型の形状を採用した事で実現した軽量化です。現在はBAEシステムズ社が製造と販売を対応しており、同社ではトラック後部に本砲を搭載するガンポーター簡易自走砲を提案しています。

 M-1161/1163グロウラー近距離輸送車、海兵隊がMV-22可動翼機に搭載するべく開発した小型戦術車両で、MV-22の格納庫には1.5mまでの車両しか搭載出来ない為、新設計された車両です。元々海兵隊はケネディジープとして知られるM-151を原型として開発する計画でしたがシャーシ部分の小型化を敢えて行うよりは再設計の方が妥当とされ、ジェネラルダイナミクス社により2009年に発表されました。

 M-1161は人員輸送型、M-1163は迫撃砲牽引型です、M-1161は12.7mm重機関銃を搭載し4名分の座席が配置されています、車体に箱乗りする事で11名まで機動可能、という。M-1163はEFSS120mm重迫撃砲牽引型です。EFSS120mm重迫撃砲はフランスのトムソン社製120mm重迫撃砲として2009年に採用された最新装備で海兵隊は66門を採用しています。

 EFSS120mm重迫撃砲、射程延伸弾を使用した場合の最大射程は13kmという優秀迫撃砲で、海兵隊は従来の81mm迫撃砲と155mm榴弾砲の中間を担う新装備として導入された最新鋭装備なのです、が、日本では120mm重迫撃砲RTとして、1994年から全ての普通科連隊重迫撃砲中隊若しくは本部管理中隊重迫撃砲小隊に装備されているもので、目新しさは、ありませんね。

 M-1163は120mm重迫撃砲を牽引するもので、陸上自衛隊では巨大な高機動車を重迫牽引車として用いています、海兵隊は小型化の必要性から高機動車よりも遥かに小型のM-1163を牽引車として採用していますが、残念ながら重迫撃砲牽引時にM-1163には迫撃砲弾を3発しか搭載出来ません、このため、砲1門に対しM-1163を2両配置し、うち1両を弾薬牽引車としています、こうしなければMV-22に搭載出来ない為仕方ないのですが、弾薬牽引車には専用弾薬トレイラーを牽引させ、こちらに36発の120mm砲弾を搭載します、この車両、MV-22を導入する自衛隊にも必要な装備だ。

 MTVR7t中型戦術車両、オシコシ社製新型トラックで1998年より配備が開始されました、12.7tの重量級車両でボンネット方式の車体を採用し迫力がある車両、従来のM-939戦術車両の後継として海兵隊に採用されたもので、海軍施設部隊にも採用されました。車幅2.5mという割には大型に見えるのですがその筈、車高は3.65mあり、エンジン出力は440hpもある。

 MTVR7t中型戦術車両は迫力だけではなく、兵員輸送の基本車両や、各種クレーンなどを搭載し野戦での回収作業に用いられるほか、後部に防弾区画と重座を複数設置し、輸送車両の梯団護衛任務へ車体上部には12.7mm重機関銃架を標準装備、車両の多くは装甲キットを装着し待伏せ攻撃などに対応する装甲化策がとられています、シュノーケルを装備し、全部水没している状態でも運転手にはシュノーケルからのダクトを用いて呼吸を維持しつつ、どう見ても無茶しているようですが、車体が天井まで全水没しても渡渉可能、という。

北大路機関:はるな くらま
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