北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

クリスマス二〇二一特集!富士総合火力演習10式戦車&90式戦車の戦車射撃と白リン弾発射

2021-12-25 20:01:06 | 北大路機関特別企画
■吹飛ばせ!戦車射撃の迫力
 クリスマス特集ということでイルミネーションよりも迫力の戦車射撃の瞬間をお届けしましょう。

 クリスマスです。COVID-19感染拡大により自衛隊行事総崩れという中、全世界ではクリスマス中止という状況に追いやられていますが、日本では東京と大阪でのオミクロン株感染拡大とクリスマスイヴが重なってしまった構図、この不景気な機運を吹き飛ばすには。

 戦車射撃、懐かしい情景です。コロナ禍下の不景気な気分も90式戦車や10式戦車の120mm滑腔砲戦車射撃と、発煙弾発射の豪快な白リン弾の輝く閃光の幕が幾分か和らげてくれるのでは、とも。2020年と2021年立て続けの富士総合火力演習一般公開中止、これは響く。

 発煙弾発射は富士総合火力演習の機械化部隊による戦果拡張へ移行する機動打撃の瞬間に展開される大団円への一瞬の閃光となっていまして、実は写真をカメラでじっくり構えて仕上げようとしますと時機を逸するような瞬間なのですが、撮ってしまえばあと自由だ。

 戦車と装甲車の発煙弾は、ミサイル攻撃を受けた瞬間などに戦車を視界からも赤外線探知からも瞬間的に隠す、煙覆するために展開されるもので、戦車のエンジンから発する熱をも覆い隠すために白リンが熱のカーテンを展張する、そのための装備でもあるのですが。

 レーザー検知装置などにより戦車はミサイル攻撃を探知する手段があり、またもう少し進んだ装備としてロシアやイスラエルはアクティヴ式防護装置として対戦車ミサイルそのものを迎撃して撃墜してしまうような装備も、高価ではあるけれども開発しています。

 120mm滑腔砲の射撃はおとというより衝撃波に叩かれる、音に包まれるというような生半可なものではありません、この迫力は体験しなければわかりませんが、それもそのはず、戦車砲弾は音速の実に五倍以上まで加速して炭化タングステン合金の砲弾を発射している。

 戦車装甲は複合装甲、特に正面装甲については硬化セラミックとチタン合金により圧延均一鋼板換算で1000mm相当近くまで強化されていまして、これをエネルギーで突き破るには非常に堅い合金を常識はずれの速度で叩きつけるほかないのですね、加速は火薬で行う。

 発砲焔、戦車射撃迫力の瞬間なのですが閃光は砲弾を叩き出した瞬間の高圧高温の瓦斯が音速五倍の砲弾共々空気に主砲を飛び出て触れた瞬間に周辺の空気を燃焼させ、一瞬輝き、そのエネルギーは衝撃波ともなって数百メートルを隔てていても鼓膜も身も叩くのですね。

 戦車というものは理屈ではわからない装備です、いや動力も照準も火力も現代科学の集合体そのものなのですけれども、この戦車というものが叩き出すポテンシャルは実際目にしますと有象無象のミサイルなどによる抑止力より、力強い、この一点で説得力があります。

 機甲部隊の非日常感、戦車は一般公開で動かない状況は鉄の塊のようにもみえますし、特撮映画で模型から火花を放つ瞬間には人間の想像力を試されるのですが、戦車射撃の衝撃は音とは後ろにはあまり響かないはずですが、それを補い余りある痛みを届ける構図です。

 富士総合火力演習、なにしろ普通に手にはいるカメラの一枚でもこうした日常にはない、戦車の大きさを考えればこの炎が日常にあっては困るものですが、そうした瞬間を構成します。その一端を情景に切り取りますと、妖艶というほど熱い焔の迫力を醸すのですね。

 クリスマスイルミネーションの代わりというには少々迫力と刺激が強すぎるところではありますが、この戦車射撃と白リンの迫力がいままさに日本に襲いかかりつつあるCOVID-19オミクロン株の猛威を吹き飛ばすための国民自粛我慢の一助になればと思うところです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【榛名備防録】伊勢型航空戦艦の実力とは?彗星艦上爆撃機搭載能力と現実の瑞雲水上偵察機

2021-12-25 14:41:04 | 防衛・安全保障
■伊勢型航空戦艦を回顧する
 伊勢型航空戦艦は中途半端とも揶揄されますが実際にその実力はどの程度だったのでしょうか。詳細を見ますと意外な実力が見えます。

 航空戦艦、伊勢型戦艦を日本海軍は1942年のミッドウェー海戦の航空母艦4隻一挙喪失を受け、航空戦艦へ改装する事とし、また准同型艦の扶桑型戦艦も航空戦艦に転用する構想を進めました。実現したのは伊勢と日向のみですが、2隻で艦載機44機を運用でき、中型空母並の打撃力は発揮できる性能はあったようです。もっとも計画は難航しましたが。

 伊勢型戦艦の航空戦艦転用ですが、1943年5月から開始されています。伊勢型戦艦は36cm連装砲6基12門を搭載していますが、これは金剛型戦艦が搭載する36cm連装砲と同型のものもであり、日本海軍は伊勢型に先行する原型ともいえる扶桑型戦艦と併せ、36cm連装砲40基を量産しています。これはイギリス式の発想で極力共通化させ量産性を高めたもの。

 航空戦艦転用に際して、後部の5番砲塔と6番砲塔を撤去し、ここに航空艤装を配置、ただ飛行甲板の長さは60m程度しかありませんでした、はるな型ヘリコプター護衛艦の飛行甲板と同程度といわれればそれまでですが、当時日本海軍にHSS-2対潜ヘリコプターがある訳でもなく、空母艦載機の運用は大きく制約されています。ただ艦砲を外し軽く成った。

 36cm連装砲の重量は1000t、峯風型駆逐艦に匹敵する重量です、これを二つ取り外したのですから大型の飛行甲板と格納庫を設置しても重心や復元性に問題は生じません。また航空戦艦への改装とともに駆逐艦の雷撃に備えて搭載した砲郭式14cm副砲を全廃し、代えて対空火力を強化しています。この対空火力は1944年レイテ沖海戦で威力を発揮している。

 金剛型戦艦と同じ36cm連装砲4基を搭載しているのですから、伊勢型戦艦は一定程度の打撃力を有し、防御力はこちらが上です。砲塔を取除いた位置に増設の航空艤装には彗星艦上爆撃機22機を搭載、発進には火薬式カタパルト2基を有しており、格納庫からの航空機用エレベータを1基、そして艦載機を移動させる台車付軌条6本が配置されています。

 彗星艦上爆撃機、しかし航空戦艦搭載型は翔鶴型空母に搭載された彗星そのものではなく、カタパルト発射型のアイプレート装備型でした。しかし、これは彗星を量産する海軍空技廠にとり、別のカタパルト型彗星製造ラインを増設する必要があり、一方、空母艦載機型の彗星は陸上機としても転用出来る為、空母艦載機型の製造が優先され、中々揃わない。

 彗星は、しかもカタパルトから発進しても着艦は出来ない為、他の航空母艦に着艦させ、時機を見て航空戦艦に海上で移管するというものですが、移乗に必要な起重機は無く、洋上での移乗は不能、反復攻撃が出来ません。また伊勢型航空戦艦に彗星が搭載された写真が現存していません。もっとも96式艦上戦闘機が搭載されている写真はあるのですけれど。

 瑞雲。最上型巡洋艦の航空巡洋艦転用などで注目された航空機です。日本海軍は愛知航空機へ、水上偵察機へ250kg爆弾を搭載し急降下爆撃を行う方針を1940年に要求、航続距離2500km以上と最高速度463km/hの高性能を求め誕生したのが瑞雲です。一見無理に見えますが1942年に完成した試作機は最高速度448km/h、航続距離2535kmを実現した。

 伊勢型戦艦が現実的に搭載できる艦載機は瑞雲です。1944年から第634航空隊の瑞雲が伊勢と日向で訓練を行っています。ただ既に水上航空機が対艦攻撃を行えるほど悠長なものではなく、また比島方面の情勢悪化から第634航空隊は単独で比島戦線に投入されています。しかし、船団護衛等に航空戦艦が投入されていたら、こう考える事も、あるのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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