■Medium Extended Air Defense System
先日友人からMEADSが開発中止になった、ということを電話で教えてもらいました。ホーク後継SAM,というイメージだったのですが次世代の中距離長距離SAM体系を本装備で一新するというのが欧米の計画だったようです。
日本も開発計画に参加を求められたのですが、共同開発と共同生産は自動的に武器輸出三原則に抵触してしまうということで陸上自衛隊では03式中距離地対空誘導弾を開発しています。03式中SAMは性能や射程でホーク地対空ミサイルを大きく上回るものなのですが、システムを構成する諸装備の大きさもホークを大きく上回ってしまったのが唯一の泣き所でした。
この点MEADSはある程度野戦運用での機動性を想定して装備の大きさにも配慮していたため、開発は難航しているようだけれどもMEADSに参加していたほうが良かったのでは、という意見も内外から存在していました。個人的には日本の道路交通法や道路状況との兼ね合いを考えると国際共同開発に参加しても必要なものが取得できるとは限らないと思うのですが、これは置いておきましょう。
しかし、MEADSは別の視点からも日本の参加の必要性が指摘されていました、航空自衛隊です。航空自衛隊はペトリオット地対空ミサイルを広域防空用に装備していますが、MEADSはホーク地対空ミサイルのほかにペトリオットミサイルの後継も目指して開発されていたので、計画に参加していないということは陸上自衛隊の将来SAM以外に航空自衛隊の将来SAMが必要となった際に問題となるのではないか、という声も一部で指摘されていたようなのですが、現実はMEADSそのものが頓挫することになりましたのは前述のとおり。
予定ではMEADS,来年度から欧州と米軍での実戦配備に向けた評価試験が行われる予定だったのですが、これが今後AMRAAMをハンヴィーに搭載したHAMRAAMにより代替されるのか、ペトリオットミサイルにPAC-4が開発されるのか、ホークをさらに改修するのかは不明ですが、関心は湧いてきます。
しかし、日本が参加しなかった国際共同開発参加を持ちかけられたものや持ちかけられた可能性のあるものはとん挫しているものがあり、日本はリスクを負わないといいますか国産開発の施行を行ったこともすべては間違いでななかったのかな、とも。96式多目的誘導弾と同世代であるはずのスパイク対戦車ミサイルが50kmも射程を高望みしすぎて価格が高騰して4セットもそろえればイージス艦が買えるほどになってしまい中止に、RAH-66がF-2と同じくらいに価格が高騰して中止になったのを皮切りに後継ヘリコプターが続々と開発されるも要求性能が大きくしかも不安定で中止が相次ぎ、OH-1を開発した陸上自衛隊は価格の高騰には悩みましたが少なくとも4~5倍になっただろうRAH-66を売りつけられずにすみました、ということはできるでしょうね。
こうやって書きますと日本製の装備も国際競争能力があるのでは、と思われるかもしれませんが、もちろん性能だけでは装備品は売れないのでこれはなんともいえません。しかし少なくとも国産装備を開発していたことで危ない橋に誘われずに、つまり売りつけられずに済んだ、というのは僥倖でしたね。難点もあるにしても性能は相応にあるのですから。
HARUNA
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