◆B-747二機にて羽田を出発
22日に発生したニュージーランド南島における地震被害は当初の想定以上に大きく、政府はイアンフォーブスケネディ駐日ニュージーランド大使を通じたニュージーランド政府からの要請に応え、本日国際緊急援助隊を派遣しました。
ニュージーランド南島にあるニュージーランド第二の都市クライストチャーチ市を22日午後、深度4kmを震源とするマグニチュード6.3の地震が襲い建築物や道路などを破壊、バス二台が倒壊した建築物に押し潰されるなどして少なくとも65名が死亡、多数が破壊家屋の下敷きとなり行方不明となっているようです。地震発生後十五分でマグニチュード5.6の余震が発生し、市街地に加えブレストサクラメント大聖堂やクレイストチャーチ大聖堂等の文化財にも倒壊したり大破する等の被害が出ています。
ニュージーランド政府は軍への災害派遣を命令、非常事態宣言を発令するとともに各国に支援を要請、防衛省は千歳基地より政府専用機B-747二機、人員40名を以てニュージーランド国際緊急援助空輸隊を編成、本日午前中に千歳基地を離陸し羽田空港に到着しました。外務省によれば国際緊急援助隊は東京消防庁ハイパーレスキューを中心とした67名で、2008年の四川大地震や2009年のスマトラ地震への国際緊急援助隊としても活動実績を有する精鋭で、特にニュージーランド政府より実績のあるハイパーレスキューの派遣要請があったとのことです。
現状では通信網が完全に麻痺しており、20名以上の法人、多くは語学留学へ向かった学生や生徒のようですが倒壊した建物の下敷きとなり安否確認が取れない状態にあります。ニュージーランド在住邦人は2000名以上とのことですが、国際緊急援助隊は倒壊建造物を捜索するとともに、必要であれば政府専用機により帰国を希望する邦人被災者の輸送を行う事も想定していると発表しました。建物の下での生存者が究明可能かは最初の72時間が重要といわれており、政府専用機で展開した国際緊急援助隊へ期待が集まっています。写真はC-2輸送機、政府専用機の写真が無いので。
自民党政権から民主党政権に移行してのち、日本から海外のこうした人道的な緊急事態に対する対応が非常に遅くなったという危機管理上の重大な問題がありましたが、ハイチ地震など数日間を経て派遣を決定したという事を思い出すならば今回のニュージーランド地震では邦人被害もあったという事が少しは関係したのでしょうか、極めて速い対応でした。現地では軍の投入が地震発生から24時間近くを要していたとの報道もありますので、日本政府の今回行った立ち上がりは現地でも活躍が期待できるのではないでしょうか。
リビア情勢に目を移せば各国がチャーター機や軍用機の派遣を開始しており、ロシア非常事態省はIl-76三機を派遣しロシア人のみならずロシア企業の関係者であるロシア人以外の外国人の輸送も決定すているとのことです。関係閣僚会議は日本でも行われているのですが、注意深く情勢に対応するよう期待したいです。他方でニュージーランドですが、ちょうどCH-101輸送ヘリコプターを搭載する砕氷艦しらせ、が南極海に展開していますので、必要があれば派遣される可能性もあるかもしれません。
HARUNA
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)