リスペクト(事例紹介)コラムです。
ここ最近は、村井チェアマンがよく登場します。今のJリーグ理事の中で、価値観が近い方の一人と思っています。他は野々村社長、真壁会長くらいかな。これらのお三方は表には現れませんが、ファン・サポーターファーストの精神が内面からにじみ出るのを感じるし、後者2人はクラブ作りを観れば一目瞭然。こういう方々にこれからのJリーグを引っ張って行って欲しいですね。そんな村井チェアマンの話題をまた見かけました。以下、抜粋して紹介。
【サッカー観戦客のビッグデータで地域に新規ビジネスを】
村井チェアマンがスマートスタジアムの来場者から集まるビッグデータをサッカークラブがある地元の企業や起業家などに開放し、新規ビジネスに活用できる構想を表明。この構想が実現すれば、サッカークラブと地元企業が連携しながら地域経済を活性化させ、地域に根ざしたスポーツ産業が成長する可能性が期待。
村井チェアマンは10月21日に文科省等が開催した国際会議「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」の官民ワークショップに参加し、明治安田生命保険の根岸社長らとスポーツによる地域経済の活性化策などについて意見交換。
スマートスタジアムとは、Wi―Fi等の通信インフラを備え、来場者のスマホにアスリートの映像コンテンツを配信する機能などを持つ次世代型の運動施設。村井チェアマンは全国各地のサッカー場に高速通信インフラを導入してスマートスタジアムにした上で、観戦客の消費行動などに関するビッグデータを集める考えを表明。「ビッグデータをJリーグで私物化せずに(地域に)還元する。それを起業家や地域企業が活用すれば、(ビッグデータを活用した新ビジネスで)街が豊かになる」とコメント。地域のスポーツ関連ビジネスの拡大に期待。
スマートスタジアムでは、来場者がスマホなどで特定の選手だけを追いかける映像を楽しんだり、タブレットを使って観客席からビールなどを注文が可能。映像の視聴記録や飲料の注文履歴などのデータを大量に集めて分析すれば、新しいファンサービスや企業の販促活動等に利用できる可能性も。例えば、ある観戦客が応援している特定の選手がゴールを奪った日にだけ発行する特別な割引クーポンをスマホに配信し、飲食店が観戦客に試合後の来店を促す効果の発生など。
日経電子版該当記事:http://style.nikkei.com/article/DGXMZO08768600V21C16A0000000?channel=DF280920161012&n_cid=
実はこれからはビッグデータの時代。国も地方も民間企業も、日夜刻々と集積していくビッグデータをどう活用できるかが、今後の飛躍のカギになってくると思います。消費者動向を把握するという事は、当ブログの表現では「リスペクト」になります。ただ、上の記事ではそれをJリーグが地元ホームタウンに還元し、地元企業とともに協働で活用し、地域経済全体の活性化を図るという素晴らしい構想です。
そこで気になるのは、当ブログで過去に口にした「自分達が儲かれば良い」という価値観。Jクラブには決してそういうところは無いと信じていますが、例えば事業所名を露出しないスタグル。これは「協働」でしょうか。「調査データからスタジアム周辺だけ相手にしていれば良い」という価値観、これも同じ。「北海道」という名称にした札幌さん、「群馬」という名称に替えた群馬さん、かつて「平塚」から「湘南」に替えた湘南さん、広域化するのが常識の中で、狭いままというのはどうなんだろと。偏った地域性を作ると、そこに外れた地域にネガティブな空気が流れる事になります。一体感が無い地域には進歩はありません。
上の記事には2つ素晴らしいキーワードがあります。「サッカークラブと地元企業の連携」。スポンサードではありません、連携です。スポンサーかどうかという視点にしか立てなかったら、付加価値は生まれません。ただ、お金と数字が左から右へ移動するだけ。浦和さん、大宮さんには素晴らしい事例がありますね。もう一つは「地域に根差したスポーツ産業」、根差していないスポーツ産業はありませんでしょうか。
そして、ここで普段の情報開示力、情報公開力が問われると思います。例えば川崎さん、たぶんフルオープンにされ、サポショ等も含めて公共財の地域資源として、地元企業とともに最大限に活用される事でしょう。情報化に全く後ろ向きのところがあれば、どうしていいのかわからず引き出しの隅にしまい込んでしまう事でしょう。読者皆さんの地元クラブの情報開示力、情報公開力はいかがでしょうか。