10月10日、新橋演舞場にて「蛮幽鬼」を観てきました。
ほんとうにほんとうにほんとうに良かったよ~~~!!!!
と、叫びたくなるような幸せな時間を過ごす事ができました。
<以下はチラシに書いてある程度のネタバレ&敬称略>
劇団☆新感線のメンバーに加えて上川隆也、堺雅人、稲森いずみ、早乙女太一とキャストだけでも贅沢な作品です。
中島かずき台本のいのうえ歌舞伎、期待していました。その期待は十分に満たされました。
モチーフになっているのはデュマの「モンテ・クリスト伯」は、「岩窟王」と言う翻訳名で知られていますが、中島氏もその「岩窟王」と同じ三文字の題名にこだわったと、パンフに書いてありました。
ちなみに今回のパンフは大きいです。横が26、5センチ、縦が36センチあります。
持参したバッグが大きめだったので、うっかりサブバッグを忘れてしまい、バッグに納めるのが大変でした。やっぱり劇場にはサブバッグは必要かも知れませんね。
どんなにメイクが凄まじくても上川隆也演じる土門の声は優しくて、どんなに美しく笑顔が優しくても堺雅人演じるサジから伝わってくるのは、奥の見えない恐怖。
そんな二人が手を組み、繰り広げられる復讐劇は、先の物語を推理しつつも、読みきれない展開にワクワクハラハラドキドキしました。
このハラハラは別の意味もあって、ハンカチはバッグの奥の方に入れておいてはだめですよ。
稲森いずみ演じる美古都は、それこそ凛とした美しさがあって卑弥呼のような(会った事はないのですがイメージです)気高さを感じました。
そんな彼女の声が劇場中に響き渡る一部のラストから後半の二部はまるで嵐のような展開でした。
数度のカーテンコール。
劇場の女性の声で「本日は・・・お気をつけてお帰りくだ・・・・」とアナウンスが入っても鳴り止まない拍手。この時席を立ったのは、本当に数えるくらいの人だったと思います。そしてその中で戻ってきたキャストを前に、波のように人々は立ち上がり・・・・
感激の余韻はしばらく消える事はありませんでした。
ところで一緒に行った姉は、この数ヶ月私の付き合いで振り回されているような気もするのですが、劇場に着いてから上川、稲森以外のキャストを知りました。私も情報は最低限に抑えておきたいタイプですが、座席に座る前の通路のポスターで、堺、早乙女の名前を知るというのも、凄いなと思ってしまいました。
それは
「なんだか冷えるなと思ったら、外には霙(みぞれ)が降っているじゃない。」と思ったら、それはカキ氷のみぞれが降っていたと言うぐらいの驚きとラッキーさを感じたのではないかと、心密かに思ったのでした。
そう言えば、ゲキ×シネで「五右衛門ロック」を見たときは、主演の古田新太のみで、他に誰が出るかを知らなくて、ワクワクしながらスクリーンを見つめていた自分を思い出しました。
そういうのも良いなぁとは思いましたが、チラシなどをしみじみと眺めながら、チケットを買うので、そんな経験はなかなか出来ない事ですね。
話が逸れた所でついでですが、10日は「カイジ」の公開初日でしたが堺雅人主演の「クヒオ大佐」も公開初日でした。いったい舞台挨拶などはどうしたのだろうと、余計な心配をしてみた所、渋谷にこの後行かれたのですね。軽くお茶など飲み帰る時に、出待ちの人たちを見かけましたが、普通ならいつになるか分からないと思うところですが、昨日だけはリミットの時間が決まっていたわけで、それを知っていたら、ミーハーな私なので、一緒にその人たちに混じって立っていたかも知れません。惜しい事をしました。
サジの後での「クヒオ」舞台挨拶の様子は→こちら
この記事には関係ありませんが、「カイジ」の舞台挨拶の様子は→コチラ
話を「蛮幽鬼」に戻しまして、またもパンフの中の演出いのうえ氏の挨拶の中に≪少年漫画的冒険活劇≫と言う言葉を見つけた私は、妙にサジの戦いの動きに納得してしまったのでした。
あの動き、どこかで見たことがあるなと思っていましたが、少年漫画の強き敵役の動きに類似するものがあるように思います。自分の動き少なく、しかもスローで、片手で十分とばかりに片腕を背後に置く・・・
例えば「ドラゴンボール」の(引き合い出し過ぎ?)タオパイパイとか。
ちなみにタオパイパイって「桃白白」って書くのですってね。通りすがりのラッタさんが教えてくれました。
「凄いね、君」と思わず褒めてしまいました。
「そうなんだ、俺はタオパイパイが漢字で書ける男なんだ。」と彼は言いましたが、その後二人で、それぞれ目が泳いだのは、心の中で「く、くだらな・・・」と同じことを呟いたからでしょうか。
そんなサジが、いつその微笑を止め、誰と必死に戦うのかも見所なのかも知れません。
主役でありながら、あまり土門に触れていませんが、ネタバレなしで書くのは少し難しい所です。敢て言うならば、以下のような言葉が彼を見ていて浮かびました。
―復讐の果てにその魂は、何処にたどり着いたのか―
早乙女太一の刀衣の美しさと若さと真っ直ぐな魂は、この物語に華を添えている事は間違いのないことです。
←パンフです。
詳しくは書いてはいませんが、以下完全ネタバレです。これから観る方は、ご注意下さい。
後半の山中のシーンから、凄かったですね。
あまりに凄まじい復讐劇は、人の弱さと強欲と、そして親子の愛で、自滅と言う形で片がつきました。そしてその後の物語展開は目が放せませんでした。
自滅と言う復讐の最後の凄まじさに、頭がくらくらしている所にペナンの死。彼女の言うとおりに復讐の心を棄て自由な海に乗り出すことが出来たのだったら・・・その束の間の夢への誘いは、土門に見せた夢ではなく観客の私達へみせた光だったように感じました。
その光はあっと言う間に消えて、土門は闇の中を突っ走っていくしかないのだとそんな感じ。
私の涙ポイントだったセリフです。
戦いの最中、もう二人はボロボロで死の影が迫っています。
「君はとうとう、私の名前も呼ばなかったし自分のほんとうの名前を言わなかった」
いつも言っている事ですが、セリフは不正確。
「今度会ったら、本当の名前を教えてくれるか。」と土門は言います。
だけどサジは
「そんなもの~、ないよ~。じゃあ、君はほんとうの名前があるって言うのかい。」
また
「ここは何処だ~!?」と言う土門の叫び
「ここはまだ監獄島じゃないのか。囚われたままだ。」
セリフだけだと、ちょっと伝わりませんが、観られた方には分かっていただけたと思います。
皆さんの感動ポイントは何処でしたか?