京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

あなたが開くページは?

2008年09月01日 | 日々の暮らしの中で
   「歎異鈔旅にもち来て虫の声
   …死ぬまで愚痴鈍根の断ち切れない人間として彼が…直ちに好きであった」
 
   「朱雀の辻に、鈴を鳴らして、今朝から、喚いている男があった。」
「序」に続き、吉川英治著『親鸞』(講談社)の冒頭の一文です。

そして、こちら。
   「昨夜からの雨も朝にはあがって、京の大路には秋の日ざしがまぶしい。
   忠範は目をほそめながら歩いていた。
   はるかに比叡の山が見える。
   比叡山は、どっしりした山だ。
   四明ケ岳、大比叡の連邦から東山にかけて、ゆるやかな稜線がつづく。」

美しい遠景の描写の中に八歳になった忠範が登場してきます。「どけ!どけ!…」いきなりの怒声が上がり、「かすかな死臭」が漂う“第一回”。
「忠範の胸も、期待に震えた。〈ほんとうにそれは起こるのだろうか?〉」
明日への期待がわきます。

五木寛之氏の連載小説『親鸞』(京都新聞)が始まりました。魂が込められるという最初の一文に、開始とともに触れることができる嬉しさを感じます。
親鸞が歩いた京の街、そして少年時代を、青年時代を、宗教者ではありますが人間としての親鸞を、どのように描いてくれるのでしょう。「南無阿弥陀仏」と唱えれば仏様のお慈悲にあずかれる…と説く親鸞…。


澄みきった月の夜、ページを開くあなたの本はなんですか?

   且つ忘れ且つ読む燈火亦親し  (相生垣瓜人)

     
  ここのベンチは私のお気に入り。涼しい木陰での読書もいいですね。
コメント (10)
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