京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 花酔い

2013年04月06日 | こんなところ訪ねて
5日金曜日、京都市内は26度を超えて夏日となりました。

「明日は出町柳に12時ね」と確認メールを一斉に送ったにも関わらず、地下鉄の「今出川駅の改札で待っているんだけど」と電話してくる人がいて…。どうやって行ったら良いのかと言われてもねえ~。地上に出て、タクシーで来ちゃえばとそっけなく告げて待つことわずか、発車時間の迫っていた叡山電車に間に合いました。

30分ほどで終着の鞍馬駅です。プラットホームの柱1本1本の両面に赤い天狗さんと烏天狗の面とが掛けられていて、趣ある駅舎が迎え入れてくれます。ひと心地つける落ち着きがあります。季語にもなっている「鞍馬の花供養」、毎年4月中旬に行われ、お稚児さんの練供養や謡曲、狂言、茶事、生け花といった多彩な催し物が行われるようです。今年は明日7日(日曜)から21日まで予定されています。
        母の背の稚児山伏や花供養     内藤 十夜



 
春、桜の季節に訪れるのは初めてです。「雲珠(うず)」と形容される桜が咲きそろう鞍馬寺の春。「うず」とは馬の鞍につける宝殊の形をした飾りなのだそうで、それを彷彿とさせる桜が鞍馬の山にあるというのです。花の形が「うず」に似ているのか、桜の咲く景観が似ているということなのか…。「うず桜」は京都鞍馬山に咲く桜の総称だと広辞苑では説明しています。
どのような景観が楽しめるのか、ケーブルカーでは味わえない空気を身体で感じながらの一歩一歩、全員徒歩にて登りました。


街中の人出は容易に想像できます。高野川と鴨川が合流する出町柳の三角地帯はブルーシートが敷き詰められ朝から場所取りでした。川での水遊びも賑わっていましたが、ここはそんな喧騒とは無縁です。それぞれが心ゆくまで桜を前にわが心と向き合っているのでしょうか。
決して境内を埋め尽くすほどではありませんでしたが、華やかな桜のほほ笑みに誘われて、もうまさに花酔いでした。
        さまざまの事おもひ出す桜かな  芭蕉

コメント (6)
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