
『舟を編む』(三浦しをん著)を読み終わってそう間をあけることもなく、今日はその映画を見ることになった。
奇をてらった表現もなければ比喩の多用もない、言葉を丁寧に紡いだ簡潔な文章の世界にとても好感を持って入り込めた。原作を十分に楽しめた読後感を大切にしたい思いが強かったので、若干躊躇するものはあった。
「辞書は言葉の海を渡る舟だ」「海を渡るにふさわしい舟を編む」
単に辞書作りの編集作業ばかりではなく、書き込まれた様々な心象風景がある。2012年度本屋大賞受賞作品とあれば、やはり活字で読むべき作品だ、と言いきるのは変な理屈だろうか。映画は全く物足りなかった。原作に描かれた深みが、厚みがない。…と感じた。活字を追いながら行間に思い巡らす、想像し思考しながらの読書がまさった一作品であった。断るまでもなく勝手な私見に過ぎない。

映画をみ終わってひと息ついて、友人が読んでみたら(?)と三冊の本を…。彼女の書き込みが残ったページを繰ってみて、迷わず、先ず『おはいりやして 俳句と随筆の愉しい競演』(西野文代著)から読むことに決めた。韻文と散文とを組み合わせた文章は好きだ。そうした文章を書きたい思いがある。中央の一冊、句集はちと苦手。私からは今日の映画の原作を、3冊と1冊で貸し合いっことなった。
「おりにふれてのしあわせは、思い出すことばのあること」と西野さん。
初夏を先取りしたような一日だった。