京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

季節は巡り、やがて

2021年02月16日 | 日々の暮らしの中で

  昨日猶お寒し南岸の柳
  今朝已(すで)に暖かし北枝の梅
  晴れを吹き雨を送り互いに相い報ず
  信(まこと)に是れ春風
  脚を踏みて来たる

〈晴れたかと思えば雨になるといった日々をくり返し、まことに春風は足踏みしながらやってくる〉
『漢語日暦』(興膳宏)では、季節の遅々たる歩みを写していると江戸の漢詩人・舘柳湾(たちりゅうわん)の「春日雑句」を引いている。

通りがかった家の前に市中の人形店の車が止まり、幾箱かを運び込んでいるのを見かけた。
子供の成長を願い、成長を喜びとする家族の中に雛がある。初節句を迎える女の子がいるのかなと思って、ほほえましいあたたかな思いがわいてくる。

   箱を出て初雛のまま照りたまふ  渡辺水巴    

「今年もお会いしましたね」と言葉をかけたくなるこの瞬間が、飾り手の大きな大きな楽しみで
よろこびごととしてきた。やっぱり飾ろうか…。
コメント (2)
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