カクレミノの小果が黒紫色に色づいているのに気づいた。
「天狗の隠れ蓑」の話、おおよそのところでは思い起こせるが、ほかに、何か頭の片隅に巣くう「カクレミノ」…だった。
少し前、昭和文学全集に収められた中里恒子の短編『隠れ蓑』を読んでいた。表題の「隠れ蓑」という言葉が後半末近くで記されている。「荒れた家をどうにか手直しして、隠れ蓑のように住みこなしているが、やっぱりなんとかしないと大事になると、鳥羽は気づいていた」
美術骨董の名品珍品を追って血眼になって道具屋まわりをしていた鳥羽。妻と分かれ、女に去られ、一文無しになって、親の代からの土地に建てた二階家に、今は自分より三十も年の若いやすと暮らして7年になる。やすが傍にいてくれることで命の終わり場所をつかんだ気がしているが、鳥羽もやすも、その胸底には心のあり場の対象を失う恐怖を沈めている。などといった心情が語られていく。
愛蔵品をかつての好敵手・曽我に譲ろうと考える。明日が雨でもきっと鳥羽はいそいそ出かけていく。見栄も恥もなく、昔を知る人間に無心する屈辱にも、そわそわと心が騒ぐ。「細い糸が一本、世間のなかに、このような形でつながっている」ことで、「束の間、孤独から逃れられる」からだ。
周囲との関わりを絶つことなく、外にコミュニケーションを求める。猛烈な葛藤はあっても、それが自分の生き方、生きてる楽しみ、か。
現実主義者で、行動が必要な時には果断な生活者でもあったという中里恒子の作品。久しぶりにページを繰ってみた。
話は飛ぶが、いっときでも無事に姿を隠せるカクレミノがあるのもいいな、と思う。
「天狗の隠れ蓑」の話、おおよそのところでは思い起こせるが、ほかに、何か頭の片隅に巣くう「カクレミノ」…だった。
少し前、昭和文学全集に収められた中里恒子の短編『隠れ蓑』を読んでいた。表題の「隠れ蓑」という言葉が後半末近くで記されている。「荒れた家をどうにか手直しして、隠れ蓑のように住みこなしているが、やっぱりなんとかしないと大事になると、鳥羽は気づいていた」
美術骨董の名品珍品を追って血眼になって道具屋まわりをしていた鳥羽。妻と分かれ、女に去られ、一文無しになって、親の代からの土地に建てた二階家に、今は自分より三十も年の若いやすと暮らして7年になる。やすが傍にいてくれることで命の終わり場所をつかんだ気がしているが、鳥羽もやすも、その胸底には心のあり場の対象を失う恐怖を沈めている。などといった心情が語られていく。
愛蔵品をかつての好敵手・曽我に譲ろうと考える。明日が雨でもきっと鳥羽はいそいそ出かけていく。見栄も恥もなく、昔を知る人間に無心する屈辱にも、そわそわと心が騒ぐ。「細い糸が一本、世間のなかに、このような形でつながっている」ことで、「束の間、孤独から逃れられる」からだ。
周囲との関わりを絶つことなく、外にコミュニケーションを求める。猛烈な葛藤はあっても、それが自分の生き方、生きてる楽しみ、か。
現実主義者で、行動が必要な時には果断な生活者でもあったという中里恒子の作品。久しぶりにページを繰ってみた。
話は飛ぶが、いっときでも無事に姿を隠せるカクレミノがあるのもいいな、と思う。
カクレミノですね〜。
もし、あったら何に使うかな〜とつい考えて
います。昔、仕事に忙殺されてたとき、
なんとか息子二人が自立して、ほっとした途端に
何もかも投げ出して、どこかで仙人のような生活
をしたいと、真剣に考えたことがあります。
結論として、ひどい鬱になり隔離されました(笑)
人間、生きてる間にはなんかいろんなことが
あります(笑)
私もいろいろありました~(笑)
結婚後は家庭に入りましたので、毎日毎日家にいて、
土日も法要で埋まるなど、おかしくなる寸前でした。
人恋しかったり…。
実家に帰って、そのまま長逗留なんてことも。
「留守です」、といえる状況が作れたらいいですね。
何とか自分の生き方をつかんで、今があるんでしょうね。