京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

それでも理想へと向かう国

2022年11月23日 | 日々の暮らしの中で
来年度(1月末ごろから)は6年生に進級するのを前に、孫のTylerが“スポーツキャプテン”に立候補したと聞いたのは10月中旬だった。何やら50項目ほどある一つ一つに教師からサインをもらわねばならず、それらを経て昨日、スピーチに臨んだ。
今度は1年生になる弟のLukasも会場に座っている。母親が送ってくれた動画には、幼い子供の泣き声が入っていた。

大阪にいたときに参加していたラグビースクールでは、コーチ陣から「タイラー、大きな声出して!」と一喝?される常習者だったのだ。母親は「普段はうるさいくらい大きな声なのに」とむくれるし…。そんな子が立候補したと聞いて、へえー!と思ったほど、実は意外であった。もうこれは彼の生涯に刻まれる貴重な体験をしているときだと、結果は二の次で喜ばしく感じている。

 

スピーチをする横に、手話通訳の先生が立つ。
手話を必要とする子が何人かいて、手話ができる先生も何人かいる、と。兄がスピーチの練習をするそばで、弟の身振り手振りがなんだったのかがわかる。
Ausに帰国してまもなく1年半。二人が学校生活の中で学んでいけることは広がるようだ。


「日本の障害者政策に9月、国連から厳しい勧告が突き付けられた。障害者権利委員会が特別支援教育を『分離教育』として改善を求めた。障害のある子とない子とがともに学ぶ『インクルーシブ(包摂)教育』への移行だ」
京都新聞10月16日付のコラムはこう書き始まっていた。

そのあとだったか。知的障害があって言葉が離せない、支援学校に通うご長男(9)のことを記者が名入りで綴っておられるのを読んだ。
一般小学校に通わせ、子が受けるかもしれない苦しみを思う心配が、支援学校選択の理由の一つだったこと。現在は温かく育んでもらっていることへの感謝。
「こうした環境が全国の地域の小学校内にあれば。どの子にも的確な支えと心配りがなされ、同じ建物・校庭で過ごすうちに、多様な人と人が織りなす社会の心地よさを自然に学べたなら。」と書いておられた。
壁は山ほどあるが、それでも現実から理想へと向かう国であってほしい、と結ぶ。

Lukasの真似ぶりから思いは飛んだ。みんなが相互に生かされる、救われる社会…。
                        
                         (絵は小林良正さんのほほえみ地蔵)

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
成長なさいました (Rei)
2022-11-23 21:51:10
先日の写真、練習中のお兄ちゃんの横のLukas君の手話のことよくわかりました。
日本にはない情景です。
最近になってようやく日本の障害児教育が大きく
取り上げられるようになりましたが
諸外国に比べ遅れているのですね。
お三人のお孫さんたち、それぞれ大きく成長なさいました。
コロナがなければお会いになれますのに。
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これも成長ですね Reiさん (kei)
2022-11-24 09:36:15
日常は交友関係も広く、とても活動的な子なのですが(笑)
堂々としたスピーチでした(笑) もう十分です。
ありがとうございます。

算盤もする、点字の音符でピアノも弾く、海外留学も体験もある女性が、
青年海外協力隊に参加し、タイに派遣されたそうです。
目が見えなくて一人で出歩くと事件に巻き込まれやすいからと禁止されたとか。
半年で帰国を決意されたそうですが、見えないことが障害なのではなく、社会に障害があるのだと言われてました。
「多様な人と人が織りなす社会」、大きな目標ですね。身近なところから…。
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