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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

「エゾシカと森林」なるほど!親子体験ツアー 後編

2017-10-02 20:56:39 | 環境 & 自然 & 観察会
 「枝打ち体験」、「植樹体験」etc.…。興味深い体験をすることができた。森林を護る、森林を増やす、こととエゾシカ問題をどう考えるか?ということを考え続けながら参加したツアーだった。 

 昨日の投稿に続いて、道林務局が担当した分野(② 道民の森神居尻地区内の森林探索、③ アカエゾマツ人工林の枝打ち作業体験、⑦ 朝の林間散歩、⑧ 植樹体験)についてレポしたい。

 森林探索については、林務局職員の森林に対する蘊蓄を聞きながら探索したのだが、貴重な話もメモを取らなかったこともあり、右から聞いて左へ抜ける状態で、記憶力の減退を嘆く私だった。

               
               ※ 秋が深くなった様相を見せる山道を歩きながら森林探索をしました。

               
               ※ 道森林局の職員(白帽の方)から説明を受ける参加者たちです。

 アカエゾマツの枝打ち体験は面白い体験だった。
 その前の説明がまた面白かった。樹木の枝打ちとは、樹木のためというよりは人間の都合で行うこと、ということだった。その理由は、枝を打つことで木材となった際に節目が無くなるという効用があり、製材として高価に取引されるため、という意外な理由に私は内心“へえ~”という思いだった。(他の理由もあるようだが…)
 私たちは小さな鋸を渡され、アカエゾマツの枝を下から順に切り落とし、手の届くところまで落としていった。私は3~4本くらいのアカエゾマツの枝を切り落としたろうか?
 ところで「枝打ち」と称しながら、枝を鋸で引くことに若干の違和感があったが、実際の枝打ちでは、鋸だけではなく、ナタやオノ、カマなども使われるため、そのように称しているようだ。
 参加者全員で、森の一角の枝打ちを終えると、森の中の風通しが良くなったようで気持ち良かった。

               
               ※ 女の子もヘルメットをかぶり、果敢に枝打ちに挑戦しました。

          
     ※ 枝打ちする前のアカエゾマツです。                 ※ 枝打ちを終えた後のアカエゾマツです。

               
               ※ 枝打ちを終えた後のアカエゾマツの森の様子です。スッキリとしました。

 朝の林間散歩であるが、10月の朝はさすがにひんやりと冷気に包まれていたが、この日は快晴で気持ちの良い散歩でもあった。
 散歩中には朝早くから、神居尻山の登山に行く人たちにたくさん出会った。(私も登山をしたかったぁ)
 さすがに道民の森である。散歩コースはとても整備されていた。散歩道は舗装され、せせらぎには人工の川床が造られていたり、崖の崩壊を防ぐ設備が設えられたりする中を気持ちよく散歩することができた。

               
               ※ 森の朝はまずラジオ体操から。何年?何十年ぶり??

               
               ※ 冷たい空気の中、散歩に出発です。

               
               ※ 写真は「床固工(とこがためこう)」といい、川に溜まった土砂が下流に流されないようにした
                施設です。コンクリートダムを周りの景色に馴染むよう岩の形にしたそうです。

               
               ※ こちらは「谷止工(スリットダム)」といって、ダムをくし形にして、土石流が発生した時、
                大きな石や流れ木などを停める施設です。

               
               ※ 谷川を跨ぐ木製の橋にも趣きを感じさせます。朝の陽光がまぶしく光ります。

 最後は、植樹体験だった。ずーっと以前に、桜の苗木を植樹した体験はあったが、今回のようにミズナラやトドマツの植樹をすることは記憶を辿るかぎり初めての体験だった。
 植樹するところは、北海道が当別町より買い取った原野で、意図的に植樹を進めているところらしかった。
 植樹する場所まで、駐車場から徒歩で向かったのだが、その途中で動物の糞に遭遇した。引率の林務局の職員がタヌキの糞だと教えてくれたが、それは三匹くらいの糞が重なっていた。タヌキにはそうした習性があるという。その方の話によると「タヌキの溜めぐそ」と称されているらしい。

               
               ※ 道路端に転がっていたタヌキの糞です。スタッフによると「タヌキの溜めぐそ」と呼ぶそうです。

 植樹は難しいものではなかった。花の苗を定植する樹木番といった感じで、穴の深さに注意すること、植樹した後しっかり周りを踏み固めることなどが留意事項だった。
 ただ、土質が粘土質だったため土を掘り起こすことに難儀した。凄い粘土質の中でも苗木は確かに根付いて成長すると関係者がお話されていた。

               
               ※ 植林会場からは神居尻山の山頂がくっくりと見えました。スタッフによると、山腹にハート形が
                見えるというのですが、見えますか?

               
               ※ まずは植樹の手順、方法、留意点をしっかり伺って…。

               
               ※ 二人で力を合わせて植樹しています。

               
               ※ 私が植えたミズナラの苗木です。

               
               ※ 同じく私が植樹したトドマツの苗木です。

 以上、二日間にわたった「エゾシカと森林 なるほど!親子体験ツアー」はたくさんのプログラムを消化して終了した。
 そこで最後に、私が私自身に課した「エゾシカ問題」について考えてみることにしたい。
 基本的にはこの講座のプログラムの最初に講義をされた美術教師の宮崎氏が話されていたことにつきるように思う。つまり、私たち人間はこの地球上において食物連鎖の頂点に居続けているという事実を直視することから、この問題を考える必要があるのではないかということである。そうした事実に立ったとき、宮崎氏も言うように私たちが生きていくために奪わなくてはならない命に敬意と感謝の思いを抱くことが必要なのだと思う。
 エゾシカの命をいただき、エゾシカ肉の利用を考えることもその延長線上のことと考えることが自然ではないか、と考える。
 増えすぎるエゾシカは自然体系に負荷を与え、自然のバランスを崩すことにもなっている。適正規模(本道の場合は3万頭前後とされているが、最近の統計では55万頭前後も生息しているともされている)に抑えて、エゾシカと人間が共存できる環境を目指すことが今求められているのではないだろうか?

               
               ※ 最後に神居尻山をバックに全員で記念撮影です。逆光ですから、顔は特定されないでしょう。