けっして抜群の技量というわけではないが、出演するミュージシャンそれぞれが音楽活動を心から楽しんでいる様子がうかがえ、聴いている私たちも彼らの演奏を心から楽しむことができたコンサートだった。
話は古くなってしまうが、3月19日(日)午後、さっぽろアコーステックコンサート実行委員会が主催する「大通スプリングコンサート」が札幌市資料館で開催され参加した。実はこのコンサートは昨秋も “オータムコンサート” と称して開催されていたが、今回はその春版として開催したようだ。私は主催者から開催案内をいただき「是非とも駆け付けねば」と思っていたコンサートだった。
コンサートは “前座” と称して、このコンサートを実質的に主導している新保雅さんを中心にして、出演する各グループの選抜ミュージシャンによって賑やかにビートルズの「オブラディオブラダ」が奏でられた。
そして本格的なコンサートに移っていった。今回のコンサートには4組のミュージシャンが登場した。その4組のステージ名と演奏した曲目を紹介すると…、
まずソロボーカルとして登場した女性ボーカリストの「チッコ」さん(ギター伴奏として新保雅さんが応援)は、①「ハナミズキ」、②「ファーストラブ」、③「シンガーソング」といずれもカバー曲を披露した。
続いて登場した「Wリバー」という男女デュエットに、ゲストとして女性一人が加わったトリオで、①「遠く遠く」、②「青空に浮かぶは」、③「春よ来い」、④「月光曲」、⑤「渡良瀬橋」、⑥「イングリッシュ・マイ・ニューヨーク」とこちらもカバー曲が中心だったが、男性のギターが二人の女性ボーカルを良くリードしているように映った。
3組目は5人が登場したハワイアングループの「パウアパウ」だったが、①「月の夜」、②「南国の夜」、③「ウクレレレギー」、④「川べりの家」(NHKドキュメント72時間のテーマ曲)、⑤「小樽運河」、⑥「上を向いて歩こう」の6曲を披露した。「パアイパウ」どうやら区民センターなどで開催されているウクレレ教室の講師と生徒さんというグループのように感じられた。こうした教室の成果を披露する場としてもこのコンサートは機能しているのかもしれない。
最後はベテランデュオの「福寿草」というデュオだったが、このグループについては私は以前にも違うところで3度ほど聴いているデュオで、ギターとベースを奏でながら自らが作詞・作曲をした曲を披露するグルーブだった。その曲とは、①「春の翼」、②「四季に寄せて」、③「冬のリビエラ」(カバー曲)、④「優駿のマチ」、⑤「北線路」、⑥「ウヰスキーがお好きでしょ」(カバー曲) ※曲名については聞いた曲名をメモしただけなので、あるいは間違っている場合もあることをお断りしておきます。
この「福寿草」が披露した曲の中で、私がとても感動した曲があった。それは4曲目の「優駿のマチ」である。メンバーの中のベースマンが道東の馬産地である浦河町を訪れた時に作詞作曲を依頼されたようだ。ベースマン氏は「自分は歌が下手だから…」と謙遜されていたが、浦河の情景や人情豊かな人々の表情が詩に込められていて、それを歌うベースマン氏は彼が言うようにけっして上手ではないが、人柄が滲み出るような優しい歌い方が高いレベルでマッチして感動しながら聴かせてもらった。
プロの高いレベルの音楽を楽しむのもいいが、今回のようなある意味で親しみを覚えるコンサートも捨てがたいものがある。聞くところによると、またオータムコンサートも予定しているようである。楽しみに待ちたいと思う。
※ 掲載写真については、主催者から出演者に承諾を取ってほしいとの要請がありましたが、それが叶わなかったため、ミュージシャンの顔を隠すことで掲載させていただいたことをお断りします。