アメリカで実在した女性法律家の物語である。85歳にしてなお米国最高裁判事を務めたルース・ベイダー・ギンズバーグ(RBG)は1970年当時100%負けると断言された“男女平等裁判”を見事に勝訴に導いた敏腕法律家の物語である。
12月21日(木)夜、札幌エルプラザで開催された「エルプラシネマ」に参加した。この日上映されたのは、「ビリーブ 未来への大逆転」という映画だった。この日のテーマは「ジェンダー社会を考える」ということでこの映画が上映されるとのことだった。
“ジェンダー”について、私のような昭和男は最も縁遠く、関心も薄いテーマである。関心は薄いが気にしていたこともあり、参加してみようと思い立ったのだ。
ギンズバーグはハーバード大の法科大学院に進学するが、当時の米国の法曹界は男性優位の社会であり、米国社会自体も男女差別が横行していた社会だった。
ギンズバーグは大学院を優秀な成績で卒業するも女性であったために法律事務所に職を得ることができずにやむなく大学に職を得ることになった。大学で性差別の講義をしながら、なんとか米国の性差別の法律の改定を目論むのだが、男性社会の法曹界の壁は厚かった。
そうした中、米国の法律で未婚の男性が働きながら母親を介護することに対しては所得控除が受けられないという法のために、苦しんでいる事例に遭遇した。ギンズバーグはこの男性が不利という事例を好機ととらえ、裁判を支援することによって100%不利と言われた裁判を粘り強く闘うことによって見事勝訴を勝ち取るのである。
※ 裁判の最終陳述に立ったRBG(フェリシテイ・ジョーンズ)です。
この裁判を契機に米国社会は現在のような男女平等社会が実現していったとされている。
彼女は、ジョン・エフ・ケネディがJFKと呼称されるように、RBGと呼ばれ大衆の人気も高く、米国で最も尊敬される最高裁判事として亡くなる87歳まで27年間にわたって最高裁判事を務めた方である。
映画自体は言葉のやり取りが続く地味な映画だったが、裁判の最後の陳述に立ったRBG(フェリシテイ・ジョーンズ)の論理的な陳述、理知的な立ち居振る舞いが印象的だった。
※ 実際のルース・ベイダー・ギンズバーグです。左側は大学院生時代のものと思われます。右側は最高裁判事を務められていた時代の彼女です。
映画上映の後、エルプラザに入居している「札幌市男女共同参画センター」の若い女性職員(確か25歳と聞いたが)が、「ジェンダー」について短い講和をされた。それを拝聴し、職員の方が話されていることが良く理解できたし、時代は確実に変わってきていることを実感させられた。