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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

めだか会議 放談会「私が名作だとお勧めできる作品」

2025-03-12 19:14:23 | 「めだかの学校」関連
 ‟名作”となると、やはり文学作品になるんですねぇ…。美術工芸品などは庶民には手の届かないものだからでしょうか?…ということで、今回会員の皆さんは自らが好きな作家、あるいは感動した作品についてそれぞれが披露し合った。

 一昨日(3月10日)午後、「めだかの学校」「私が名作だとお勧めできる作品」と題して会員同士の放談会を実施しました。
 会員の方々の発表は、当然ですが各人各様で、趣向も違えば、作品内容もそれぞれでした。歴史小説が好きな方、大河小説のようなスケールの大きい作品が好みの方、あるいは映画の影響を受けて原作に当たった方、等々…。そこに当然とはいえ、共通性のようなものは見出すことはできませんでした。まさに千差万別です。それだけ文学とは幅広いものということですね。

 そうした中で一人キラリと光った方がおられました。
 その方は、この放談会に対していつも周到に準備されて参加されるA氏です。
 A氏は今回他の方たちと違って唯一、映画の名作を挙げられました。その映画名は「ビルマの竪琴」でしたが、A氏は例によって「ビルマの竪琴」のあらすじをプリントされたものを用意し、さらには図書館から書籍も借りて用意していました。そしてそして、映画の中で歌われていた「埴生の宿」の歌入りのテープを用意し、皆さんに聴いていただくという念の入り様でした。
 A氏の姿勢には大いに刺激を受け続けた今般の「めだか会議 放談会」でした。他人に自分の思いを伝えようとするとき、できるかぎり準備しコトにあたることの大切さを教えられた思いです。

         

 A氏ほどではないにしても、他の方々もお勧めする作品の概要を記したペーパーを配布する方、あるいはお勧めの図書を用意される方もおり、A氏の行動に他の会員の方々も刺激を受けているようです。

 一方で、あきらかに漫然として参加されているかのような会員の方も散見されました。テーマに対して特に準備もせずに、思い付きのように発言されているのではと思われる発表もあったようでした。
 私は「めだかの学校」の学びを少しでも質の高い学びにしたいと考え、これまでいろいろと提案してきたつもりですが、思いがまだ届いていないところもあるようです。
 しかし、あまりハードルの高いことを要求することによって会員の方々の気持ちが離れてしまうことも避けなければなりません。その辺のさじ加減が難しいなぁ、といつも感じているところです。

       

 ところで、「お前は何を名作としてお勧めしたんだい?」と問われるでしょう。
 私は拙ブログの中でも何度か触れているノンフィクション作家の沢木耕太郎を挙げるのに躊躇しませんでした。
 沢木耕太郎は私と同年代であり、彼が1973(昭和48)年に最初に刊行した「若き実力者たち ~現代を疾走する12人~」を読んで、一気に彼の虜になりました。以来、彼の著書はほとんど刊行と同時に買い求めてきました。今、私の本棚には彼の著書が48冊並んでいます。

 その中でも名著の一つとして私は彼の4作目の著書である「テロルの決算」を挙げました。1980年、当時の社会党委員長だった浅沼稲次郎は演説中に17歳の右翼の少年・山口二矢(おとや)の短刀によって刺殺されてしまった事件を克明に描いた名著です。
 沢木耕太郎は、この一瞬の出来事を執拗な取材を重ね318頁もの大作として完成させました。研ぎ澄まされたその筆致は、多くの人々の心を震わせノンフィクションの金字塔と讃えられた一冊です。
 その他にも彼は、次々と話題作を世に出しました。ただ、後年彼はフィクションの世界にも挑み、それなりに評価はされましたが、私自身はやはり彼のノンフィクションに魅力を感じています。

       

 今回、拙ブログの過去を辿ったところ、ブログを発信し始めた当初の2007年5月20日~24日まで5回に分けて「沢木耕太郎論」を書き連ねていますので、もし興味がありましたら覗いてみてください。

 今回で6回にわたって様々なテーマで行ってきた「めだか会議 放談会」ですが、一応終了となります。私としては「面白い試みだったなぁ」と振り返っています。いつかまた、似たような取り組みをしてみたいと思っています…。