田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

金剛山歌劇団公演を観る

2022-10-13 16:51:05 | ステージ & エンターテイメント

 金剛山…、現在の北朝鮮に属する山の一つで「クムガンサン」と呼称する。その名を冠する「金剛山歌劇団」は在日北朝鮮人の子弟で構成する歌劇団で、北朝鮮が国外におく唯一の芸術団体だそうだ。その金剛山歌劇団の公演が札幌であり観劇の機会を得た。

          

 10月12日(水)午後、札幌市教育文化会館において「金剛山歌劇団アンサンブル公演あの空に” があった。

 公演の内容的には在日北朝鮮人の子弟が演ずるのだから、北朝鮮を礼賛するような内容となるのではという危惧する気持ちはあったのだが…。私は伝えられるような専制的な国家の在り方や国際世論を無視して頻繁にミサイルを発射したり、核実験をしようとしている国家体制をとても許容する気持ちにはなれない。ただ、「彼を知り 己れを知れば 百戦殆(あや)うからず」という言葉もある。ただやみくもに忌避するだけでなく、「何でも自分の目で見て、自分自身で体験してみて」そのうえで自分自身が価値判断することが大切では、と考えている。今回、幸いにも招待券を入手できたこともあり、観劇することにした。

 そうすると驚いた!私は開演45分前頃に会場に着いた(開場15分前)のだが、なんと会場の教育文化会館の周りを観劇しようとする人たちが長蛇の列をつくり取り囲んでいるではないか!私は一瞬入場できないのでは?と危惧したが、長い列の最後について無事に入場することができた。結局はあの大ホールのキャパいっぱいの1,100人を飲み込んで公演が行われた。(もしかして私のような招待券を入手した方が多かった?)

             

             ※ 上の男性が演奏している楽器がチャンセナブです。           

 公演は “アンサンブル公演” と銘打っているように独唱有り、重唱有り、独奏有り、重奏有り、群舞有り、独舞有り、とバラエティーに富んだ内容だった。プログラムを紹介すると…、

 ◆女声独唱と舞踊「祖国の空に」

 ◆チャンセナブとソヘグム重奏「思郷歌」

 ◆4人舞「朗らかなセナプの音色」

 ◆チョッテ独奏「天の川と鳳凰」

 ◆独舞「パラの舞」

 ◆女声独唱「ブランコに乗る乙女」

 ◆群舞「太鼓の舞」

 ◆女声3重唱「ウリハッキョは私たちの故郷」

 ◆男声2重唱「雲に身を乗せ」

 ◆混声重唱「晴れた空に向かって」

 ◆群舞「渡り鳥に願いを込めて」

 ◆男声独唱「嶺をこえて」

 ◆民俗舞踊「農楽」

一目見てお分かりのように非常にバラエティーに富んだ内容である。しかもこれらの演目が次から次へと息も切らさず、途中の休憩もなく一気に90分間連続して演じられた。

           

           ※ 女性が演奏している楽器がチョッテです。

 そしてその特徴の一つは、北朝鮮独特の楽器の演奏があったことだ。チャンセナブソヘグムチョッテと私にとっては初めて出会う楽器の数々だった。さらに群舞では以前に韓国で見た韓国伝統芸能と酷似した衣装や太鼓などを使用していていたところを見るとルーツは同じであることを改めて認識させられた。

 さて、演目の題名に注目いただきたい。ここに彼らのメッセージのようなものを私は感じたのだ。「祖国の空に」、「思郷歌」、「ウリハッキョは私たちの故郷」、「雲に身を乗せ」、「晴れた空に向かって」、「渡り鳥に願いを込めて」…、歌に関しては朝鮮語で歌唱されたが、会場内には字幕が出されていた。題名、あるいは歌詞から、私の祖国北朝鮮に帰りたい、あるいはあの空の下には私の祖国北朝鮮がある、渡り鳥のように自由に空を飛んで行きたい、といった内容であった。露骨に北朝鮮は素晴らしい国、地上の楽園であるなどと謳ってはいなかったが、その底意には北朝鮮を礼賛する思いが滲み出ていたのでは、と感じたのは私だけだったろうか?  

 エンターテイメントとしては楽しめたところもあったが、心の底から楽しめたとはどうしても言えない「金剛山歌劇団」の公演だった。 



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