史実を基にした第二次世界大戦時の集団脱走を描いた映画である。奇想天外とも思える脱走劇であるが終始楽しめた映画だった。緊迫感漂う脱走劇なのだが、観ていた私にはどこかユーモアも感じさせる映画だった。
映画は1963(昭和38)年に制作・公開され、原題は「The Great Escape」だから邦題は直訳そのものである。
私は例によって5月5日(水)BSプレミアムで放送されたものを録画しておき、昨晩観たところである。余談であるが、このところBSプレミアムでは名作を次々と放送されるのでとても楽しみである。
さて映画の方であるが、リード文で史実を基にした映画である、と紹介した。その史実とは、第2次世界大戦の末期にドイツ・ナチス軍の捕虜収容所において、連合軍の捕虜兵士250人が大量脱走計画を企図し、その脱走を巡って連合軍兵士とナチス軍のせめぎ合いや、脱走の顛末を描いたものである。
※ スティーブ・マックィーンがバイクを駆って草原を派手に逃げ回るシーンは見ものである。
連合軍の捕虜兵士250人とは、ナチス軍から見ると札付きの問題兵士で、過去に何度も脱走を企てた兵士たちで、ナチス軍はことのほか脱走を警戒して警備体制が整っている収容所に250人を集めたのだが、その警備が厳しい中でも脱走を計画し、実行したのだ。
全編上映が165分という長尺物なので詳細は避けるが、脱走のプロ(?)たちが練る計画、そして準備には、そのことをどこか楽しんでいるようなところが垣間見え、観ている側もドキドキはしながらも、楽しく画面を観ることができた。
コトの顛末はけっしてハッピーエンドではない。計画に参加した250人のうち、最後まで逃げ切れたのはわずか3人だった。多くの者は捕まり、悲惨な最期を遂げたり、再び収容所に連れ戻されたりした者がほとんどであった。
※ 逃走に失敗し、収容所に連れ戻されたスティーブ・マックィーンです。
そういう意味では大脱走計画は失敗に帰したということが云えるであろう。しかし、ことのほか厳重な収容所から長いトンネルを掘り、脱走しようと計画した奇想天外な事実が第二次世界大戦中にあったということは興味深い事実である。
また、映画にはスティーブ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンなど錚々たる俳優たちが名を連ねていて洋画ファンにはたまらない映画の一本ではないかと思われ、楽しめた映画だった。
掘った土の処理シーンや脱走後の顛末の細かな描写まで、隅々まで「楽しませよう」という意欲に満ちあふれていました。そして最後の処刑シーンの切なさ…。
それを救ってくれたのがスティーブ・マックィーンでしたね。あの明るさが映画をエンタテイメントとして盛り上げていました。もちろんアクションの素晴らしさも。
エンタテイメント性とか顔ぶれを見ると、荒野の七人を連想します。スケールの大きなアメリカらしい映画が次々と生まれた時代だったのでしょうね。そのころをリアルタイムに楽しむには、ぼくは子ども過ぎました。
「史実に基づいているのに極上のエンタテイメントに仕上がっている」…、私もまさにその通りだと思いながら観ていました。
最近の私は人と交わることをできるだけ避けるために、野山の独り歩きとテレビ三昧です。そうした状況にBSプレミアムは良い映画を提供してくれます。これからもしばらくはこうした生活を強いられるのでしょうかねぇ…。